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放課後、1年C組の教室では卒業祭の話し合いが行われていた。司会はもちろん、担任から卒業祭委員に指名された灰司である。
「じゃあー、やりたい模擬店言ってー」
ダラーっと黒板に凭れながら、全くやる気のない司会。右手の指には一応チョークが挟まってはいるが、持ち慣れているのか完全に煙草の持ち方である。
「外に屋台建てて、焼きそばとかお好み焼きでよくね? 楽じゃん。教室より人通りもあるしよ」
「屋台の焼きそばとー、屋台のお好み焼きー」
口に出しながら黒板に書いていく。意外や意外、綺麗な字だったりする。
他にも、たこ焼きや唐揚げといった定番ものが挙げられていく中、足を組んで偉そうに座っていた柏原が立ち上がった。
「テメー等、こんな在り来たりなことして1位取れると思ってんのか、あぁ? もっとインパクトが強ぇことやんねぇと無理に決まってんだろ」
「じゃあ、お前の意見言ってみろよ」
偉そうなことを言う柏原に突っかかる生徒。その言葉にニヤリと口角を上げる柏原。それを見た1年C組の面々は一様に顔を引き吊らせた。
「コスプレに決まってんだろーが。顔がいい奴のコスプレ。俺が選ぶから拒否権無しな。それ以外は裏方だ」
「んだよそれ!」
「これなら絶対に1位になる自信がある。旅行だぞ、旅行」
確かに自分たちが出した案よりかは言いように思えてくる柏原の意見。結局、多数決をとった結果、柏原が言った『教室でコスプレ喫茶をする』という案が通ったのだった。
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