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「まさか投げ飛ばされるなんて思ってなかったけど、感謝しなくちゃいけないわよね。そろそろ、言われるばかりに嫌気が差してたし」

「ああ!? 調子乗んなオカッ、……ぐっぅあ!」


 首を右手で掴んだ。喉仏を親指で押さえるような形になっちゃったから『オカマ』って最後まで言えなかったみたい。そのまま近くにあった机の角に頭をぶつけてやる。目の横の骨が折れたかもしれないわね。すごく痛そう。


「きめえって言われる度にその顔グチャグチャにしたくて、ウズウズしてたの。でも学校で喧嘩しないように総長から止められてて、手が出せなかったのよね」


 頭が痛むのか、倒れて起き上がろうともしない。タイマンでそれはないでしょ。すぐに立ち上がらなきゃ。こうやって、さらに殴られるだけよ? ガラ空きの腹部を何度も何度も蹴り上げる。ゲロ混じりの唾液が制服に付かないように注意しなくちゃ。


「いくら喧嘩はダメって言ったって、やられたらやり返さなくちゃ。チームの名に傷が付くものね。これならリンさんの言い付けを破ったことにはならないわ。だから、この際、全員潰したって何とか言い訳が立つわよね?」


 さっきまで私を笑い物にしていた連中の方を見る。少し顔色が悪いわね。これから自分達がどういう目に遭うか分かっているみたい。でも自業自得よ。
 これに懲りて、私をからかうのはやめなさいね?


「もういいの? 保健の先生呼ぶ?」

「大丈夫よ。足は潰してないもの。行きたきゃ自分で行けるわよ」

「エミリーはよく考えてる」

「ボーズがやってたら、救急車が必要になってたかもしれないわね」

「俺、エミリーがからかわれんの嫌いだから」

「手を出したのが私で、まだよかったわねー?」


 と、倒れ伏している連中に声を掛けた。まあ、痛みでそれどころじゃないだろうけど。


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