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「ハリー!! 徹也さんから連絡来たか!?」
「来た! リンさんが帰ってきたってマジかよ! 狼さんが召集かけてんだから行くしかねぇよな!」
「ったり前だろっ! リンさんとまた会えるなんて夢みたいだぜ!!」
吉原高校の1年C組の教室。騒いでいるのはOVERFLOWのメンバーであるハリーとマッチだ。2人は不良の巣窟と言われる吉原高校の中でも一目置かれた存在である。
理由は簡単。『OVERFLOWのメンバーだから』だ。
「マッチぃ。うるせーよー。耳元で騒ぐなよー」
「ワリーな! だってよ、半年ぶりにリンさんに会えるんだぜー? テンションも上がるってもんよ!!」
「マジでー? リンって生きてたんだ」
「リンさんが死ぬわけあるかよ。誰にもやられたりしねーよ、あの人は」
「そのとぉーり!!」
「ふーん。まぁ、どっちでもいいけどー」
なんとも気の抜けたこの少年は、マッチとハリーの友人? である倉田灰司(くらた はいじ)。族やチームに入っているのが当たり前の吉原高校で、何にも所属していない珍しい部類の生徒である。
しかし見た目は眼孔が鋭く、ド金髪のピアスジャラジャラ。唇と耳がチェーンで繋がっており、少年院上がりだの、人を殺しているだのと噂が広まっている。あのダラけた感じは常にラリっているからだとまで言われているのだが、本人がそれを否定しないため、学内では要注意人物に指定されている。
そんな灰司少年の目下の悩みはと言えば、担任教師の柏原(かしわばら)であった。
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