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 私の名前は……ううん、本名は伏せておくわね。実はあまり気に入ってないの。
 いつからだったか呼ばれ始めた『エミリー』ってあだ名の方が私は好き。だって女の子みたいで可愛いじゃない? 私がドMだからってリンさんが付けてくれたのよ。

 リンさんはね、女の子みたいに可愛くて、怪物みたいに強くて、でも優しくて、格好よくて、素敵な男の子なの。
 OVERFLOWっていうチームの総長で、みーんなリンさんが大好き。もちろん私もとっても好きよ。狼さんが恐いから口には出さないけど。なんてねっ。

 狼さんは……、そうね。名前の通りの人って感じよ。狼みたいに獰猛で凶暴で近寄りがたい人。でもね、リンさんには忠犬だわ。すっごく、心から想ってるって見てて伝わってくるの。
 リンさんは鈍感だから、全然気が付いてないんだけどね。

 あの2人を見てると、私思うの。幸せになって欲しいなって。
 これは女のカンだけど、きっとね、あの2人には心から信じ合える人ってあまりいないんじゃないかしら。他人を拒絶して、深く関わろうとしない。
 せっかく出会えた大切な人同士だと思うの。だから、ずっと仲良く一緒にいて欲しいのよ。

 ……あぁ、ダメね。オカマはこれだから。涙もろくて嫌になっちゃうわ。


「エミリー? 泣いた?」

「あら! ボーズ、おはよう! 泣いてなんかないわよ。あくびをしただけ。それじゃ、行きましょっ。」

「うん。今日も待たせてごめん」

「いーのよ! 私が待ちたくて待ってるんだから。気にしないの」

「うん」


 彼は、ボーズ。坊主頭だから、ボーズ。これもリンさんが付けたあだ名。
 私とボーズは幼なじみで、ずーっと一緒に育ってきたけれど、本名よりもこのあだ名が似合ってる気がして、いつの間にか子供の頃から呼んでた名前じゃなくて、あだ名で呼び合ってた。
 なぜかしらね? これも、リンさんの影響力かしら?


「今日から高校生ねー」

「うん」

「同じクラスになれるかしら?」

「なるよ」

「そうよね。私達、ずっと一緒だったものね」


 そう。私達はずっと一緒だった。生まれた時からずっと、これからもずーっと、私はこの恋と共に生きるの。


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