好きな所をあげたらいっぱいあってキリがない。
例えば彼は地味な所を気にしてるけど私にとっては誰よりも輝いて見えるし
笑顔も優しいところもとっても大好きなの。

話すだけで意識して、顔が赤くなっちゃって…

まるで初恋をしているような

そんな気分


02


「…ちゃん!凜ちゃん」


店主さんの声で我に返る

…いけない、仕事中なのにまたぼーっとしてた。


「仕事中に彼氏の事ばっか考えるのは感心しないなぁ?」
「ご、ごめんなさい、」
「何、そんなに山崎君は魅力的なわけ?」
「…はい」
「うわ、満面の笑みで言っちゃったよ」
「ごめんなさい」
「あーいいなー俺も恋したいなー」
「?彼女さんいらっしゃらないんですか?」
「別れたばっか」
「店主さんかっこいいから女の子は放っておかないでしょう」
「じゃあ凜ちゃん拾って」
「私には山崎さんだけですもん」
「ははっ軽くのろけられちゃったよチクショー」


いつもの様に談笑しているともう閉店の時間。

片しながらも色恋話は続く

「凜ちゃんは山崎君のどこが好きになったの?」
「…それが分かんないです」
「え?」
「いつの間にか惹かれてて…今ではもう全部が好きで」
「彼、地味なのにね」
「そういう所も好きなんですよ」
「凜ちゃん派手だから意外。あ、派手って言っても外見がね。中身はすごく初だよね」
「なっ!…」
「だからさ地味な山崎君と派手な凜ちゃんが歩いてるとなんかアンバランスなんだよねぇ」
「…そうですかね?」
「ま、好きならいいんだけど」
「はい、…もう好きすぎて…どうにかなっちゃいそうなんです」


言ってて照れちゃう。
ここまで私を恋する乙女にしたのは山崎さんだ。

だって今まで男の人って下心しかないものだと思ってた
そーいう雰囲気になって断ったら、やれると思った、だのつまんない、だの言われたから

寄ってくる人みんな体が目的なんじゃないか、って
変な自意識過剰と恐怖心

でも山崎さんは違った

いつでも優しく笑ってくれた。
忙しくて会えない時、寝る前には電話くれるし、嫌がる事なんか絶対しないし、大切にされているのが分かる。

外見に反して中身が初なギャップが好きって言ってくれたから、私、自分を好きになれたの。


それに…

守ってあげる、って
言ってくれた

本当に嬉しかったの。


やっぱり仕事してても山崎さんの事ばかり考えちゃう。今だってまた考えてたし。
もう病気かもしれない。


「…ねえ、凜ちゃん。その凜ちゃんをどうにかさせる男が来たけど」
「え!?」


丁度店の片付けが終わった頃、店の前に一台のパトカーが止まった。

真選組の、車だ

降りてきたのは山崎さんと山崎さんの上司だと思われる人。
粗相のないように会釈をする。
しかし上司さんは構わずにものすごく近い距離まで詰め寄り私をガン見する


「……あ、あの…?」
「いくらですか」
「?」
「いくら貰って山崎なんかと付き合ったんですかィ?」
「沖田隊長ーー!?」
「、あ、う、えと、」
「アンタくらいの別嬪なら他にいっぱい男いるでしょう。
そこの男とかお似合いですぜィ」
「あ。さすが真選組の方。分かってますねーって事で凜ちゃんあんな地味とは別れて俺と付き合おう」
「店主お前何言ってんのォォォ!?」
「ククっ。残念だったな、ジミ崎。いくら金を積んだ所で所詮本物の愛には敵いやしやせんよ」
「アンタ誰だァァァァ!」














「…ごめん」


山崎さんがバツの悪い顔で謝る。
あの後結局山崎さんが上司さん(沖田さんと言うらしい)を先に屯所に帰らせて、店主さんには悪ノリするな、と軽くキレた感じでお説教して、私は連れ出されました。

山崎さんの顔が疲れた様に見えるのは…多分さっきのあれで疲れちゃったからかな


「いいんです、楽しそうだったので」
「いや…あんなの楽しさの欠片もないよ」
「そうでしたか?」
「それに…今日来たのは沖田隊長の独断だから。あの人俺と付き合ってる凜ちゃんがどんな子か見たかっただけなんだ。それなのに余計な事まで言って…」

あー、もう、凜ちゃん困ってた、守れなかった、なんて言う山崎さんが不覚にもかわいく思えて。

「でも嬉しかったですよ」
「へ?」
「仕事終わりに山崎さん見れて。1日の疲れなんて飛んじゃいました」
「凜ちゃん…」
「…嬉しかったんです。本当に」


1日中、山崎さんの事ばっか考えてたら会いたくなった、なんて事は恥ずかしくて言えなかったけど


「山崎さん、次はいつお休みですか?」
「明後日から張り込みがあるんだ。だから終わり次第かな」
「そうですか…またしばらく会えないんですね」
「うん…電話するね」
「待ってます」



もう暗いしそろそろ帰ろう、送る。
そう言えば山崎さんは立ち上がる。
わがままなのは分かっていたけど、まだ一緒にいてほしくて腕を掴んだ。


「凜ちゃん?」
「今度いつ会えるか分からないんですよね」
「…ごめんね」
「謝らないでください。仕事している山崎さん好きですから。
…だから、それまでの、充電」


目線を合わせる様に立ち上がって、きゅ、っと抱きしめる。
普段私から抱きしめることは決してないのに
自分でも驚いちゃうくらい、今日はかなり大胆。
山崎さんもびっくりしている


「…充電完了です」
「や、俺まだ完了してない、」
「続きは次会うとき…ね?」
「じゃあ任務が終わったら次の休み、デートに行こう、うん、約束!」
「楽しみにしてます」
「…?凜ちゃん?なんか顔赤いけど…」
「!き、気のせいですっ!」



自分で抱きしめておいて未だに高鳴る胸。染まる頬。

やっぱり山崎さんの前だといつだってドキドキしちゃって仕方ないんだ






20100524

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