アレルヤ×






…風邪、引いちゃいました。








―ピピッ


体温計が音を立てる。

私は挟んでいたそれを取り出した。


「…38.8℃」

「こりゃ完璧に風邪だな」


傍に居たモレノさんに手渡す。

今日の朝起きたら、喉が凄く痛かった。

一回咳をする度に刺すような痛みが襲う。

取り敢えずメディカルルームに待機していたモレノさんに見てもらおうと自分の部屋を出た。


(そのはずなんだけど……)


通路を歩いていたら足元はフラフラ。

おまけに頭痛までしてくる始末だ。

どうやらメディカルルームの手前で力尽きたらしい。

私が倒れる音にモレノさんが部屋を出てきて、慌ててベッドに寝かされたという話である。

で、診察結果はただの風邪。


「インフルエンザは1世紀前に滅んだ」

「そっかあ…」

「部屋で安静にしとれば直に治る」


注射を打った彼は、部屋で寝るよう促す。

薬のお陰で幾分楽になった私は、無事に一人で自室に辿り着いた。


「まさか風邪引いちゃうなんてね…」


こほこほと咳を2、3度する。

喉はまだ少し痛くて辛かった。

暫くすると他の人が部屋を訪ねて来た。


「リンゴは風邪に良いらしい」


と刹那は大量のリンゴを部屋に置き、


「どうやら貴女は馬鹿では無いようだ」


とティエリアは冷やかし(来るな!)、


「ま、焦りなさんな。ゆっくりで良いぞ」

<<ルシアアセルナ!ルシアアセルナ!>>


とロックオンは玉子酒を持って来た。

他にもクリスとフェルトはお粥を作ってくれたり、スメラギさんがお酒を持って来たり…。

なんだかんだ言いつつ、お見舞いがある。


そして…



「やあルシア、具合はどう?」

「アレルヤ…!」



私の恋人、アレルヤも来てくれた。

思わず跳び起きそうになる私を、アレルヤはやんわりと制止する。


「それで、今は調子どう?」

「うん、少しマシかな」

「そっか…。あ、もうみんな来たんだね」


そう言って、ベッドの傍のデスクにあるお見舞いの山を指した。

アレルヤはそのひとつひとつを手に取る。

ちなみにロックオンのはもう飲んだ。

なかなかイケるお味で、すぐに無くなる。

確か日本の伝統料理と言っていた。


「リンゴがある」

「それ刹那が持ってきた…」

「へー、剥いてあげようか?」

「うん、お願い」


それから暫く部屋にシャリシャリと、リンゴの皮を剥く音が響く。

アレルヤは終始無言だった。

私はベッドからその様子をじっと見る。


(アレルヤって、何でも得意なんだ…)


彼の大きな手は、優しくリンゴを包んだ。

手にしたナイフが、小気味よく上を滑る。

私はその光景にえも言われぬ安心感が、自分の体を覆って行くのを感じた。




「ルシア、出来たよ。…って、あれ?」




やっとアレルヤがリンゴを剥き終えた頃。

彼女はすでに夢の中に入っていた。


「せっかく剥いたのに、しょうがないな」


そう苦笑して、ずれた毛布をかけ直す。



「おやすみ、ルシア。…良い夢を」



リップノイズを軽く響かせて。

擽ったいのか、もぞもぞ動く彼女がどうしても愛しかった。


優しい温もり
(いつもより高い体温でさえどこか愛しい)


「こほこほ…」

「あれ、アレルヤ居たの?!」

「うん、ルシアの傍に居たくて…けほっ」


―――――
初のアレルヤ夢でした。
定番の風邪引いちゃった☆な話。
ベッドで咳しながら書きました。
よし、もう寝よう!←結構辛い
オチはアレルヤが風邪引くという…。
彼なら見事移されそうだ!

(2009/1/21)

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