クザンさんに、初めてプレゼントを貰った。私は胸元に輝くペンダントをそっと手でなぞる。海を映したような青の色が淡く輝いていた。


「大変ですね」
「え?」


急に声をかけられたかと思うと、振り返ればそこには大量の書類を手にしたポラリス少佐が居る。きっとそれはクザンさんがようやく処理してくれたものだ。五年も彼の近くで過ごしていれば自然と分かる。


「クザン大将、意外と独占欲は強いんで気を付けて下さい」
「え、あ…はい?」
「まだ分からないですよね…」


そう笑って、ポラリス少佐は私の頭を撫でた。


「アリエルさんは、クザン大将の事は好きですか?」
「クザンさん?はい、好きです」


何だか以前もどこかで聞いたような言葉をかけられる。私はもちろんだと即答した。というより私がクザンさんを嫌いなはずが無い。その逆の事はあったとしてもこれだけははっきりと言える。


「あー、いや。俺が言ってる意味分かってますか?アリエルさんの言っている"好き"は俺や他の海兵たちに向けるのと同じやつですよね」
「え、違うんですか…?」
「俺が聞きたいのは、一人の男性として好きなのかって事です」


一人の男性として?


「…?」
「まだ、分かりませんか」
「すみません」
「謝らないで下さい」


あなたのせいじゃ無いです、とポラリス少佐は眉根を下げて小さく笑った。意味が分からない。


「あ、そろそろ仕事に戻ります。急がないとクザン大将、目を離したらすぐサボるので」


そう言って書類を抱え直すと、少佐は廊下の奥に消える。



「…好き?」



君もしらない深海で


「おかえりアリエル」
「え、あ…はい」
「…?ねぇ、どうかしたの」
「っ、何でもないです!」


どうしよう…ポラリス少佐があんな事言うから、何だかクザンさんと目を合わせられないよ。


(title:たとえば僕が)

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