カチカチ、秒針が時を刻む。白一色で統一された病室は清潔そのもので、より無機質さを強調する。


「クザンさん?」


名前を呼ぶ声、弾かれるように顔を上げれば青い瞳とかち合った。海を切り取って埋め込んだようなそれはとても美しく、また「異様」でもあった。


「アリエル…アリエル!」
「わっ?!」


細いその身体を力の限り掻き抱く。そうしなければ不安に押し潰されてしまいそうだった。白の病衣越しに温もりを感じる。伝わる体温。アリエルは生きている――胸に落ちる安堵。


「良かった…ほんと、良かった…」

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