「行くぞ野郎共、Let's party!」


勇壮な声を上げて、夜の闇を疾走する蒼い影。獰猛な光を宿す隻眼はこの先に待つ獲物だけを捉えていた。額で弧を描く弦月は月の光に照らされてきらめきを放つ。それに導かれるようにして無数の影が原野を駆けた。


「政宗様っ!」
「Ah?どうしたname」


先を急ぐように速度を上げた男、伊達政宗のその少し後ろで馬に跨る少女は焦ったように声をかける。


「政宗様お一人でそのように前を走っていては危険です!」
「Ha!俺を心配してんのか?」


さらさらと金糸のような髪を揺らしながら顔を歪めるnameに、政宗はフッと口端を上げた。独眼竜と呼ばれ恐れられる政宗には敵がどこから来ようと関係ない。むしろそれすら彼にとっては戦を楽しむ材料となる。イレギュラーは政宗の心を熱く興奮させるのだ。


「そんな事よりname、Enjoy this war game!(この戦を楽しめよ!)」
「楽しめ、って…」
「No problem、行くぜ!」


そう言って馬の横腹を強く蹴り、手綱を握る事すらせずに先を行く。…困った主だ。nameの溜め息に隣を駆けていた片倉小十郎も苦笑する。


「諦めろname、いつもの事だろ?」
「小十郎…でも…」
「政宗様を信じるんだ」


縦横無尽に天を駆ける蒼き竜、その背は自分たちが守れば良いと小十郎はnameを諭した。竜の右目と伊達の先槍ならば不可能では無い。政宗の瞳はただひたすら未来を見据えてさえいれば。そのまましばらく政宗を追い掛けて馬を走らせていると、やがて遠く森の向こうに明るい光が見えてくる。闇を照らす松明の灯りだった。


「っ、政宗様…!」
「あァ、敵の野営地だな」


name、と政宗が名を呼ぶと同時に勢いよく蹴り上げられる馬の腹。伊達の軍馬はそれは優秀で、あっという間に前を走っていた政宗とnameが横に並ぶ。


「お前はsideから敵を崩せ。向こうはこんな夜中に攻めて来るとは思ってねェだろうからな。You see?」
「I see、仰せのままに」


時は戦国、群雄割拠の時代。蒼き独眼竜はやがて奥州を平定し、北の大地から天下を狙う。



「伊達政宗、推して参る…!」



世はまさに乱世。己が野望を胸に、天下統一を目指す兵どもの戦いは始まった。散るが運命の華なれば、せめてこの命は美しくあれと。


さぁ、世界を愛そうか
(彼と生きるか、彼の手で逝くか)



title:たとえば僕が、風雅

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