※そんな二人の今後の展望/青雉ver
※通称・デレてみたシリーズ
「ただいまー」
処理した書類を無事に提出、ついでにガープさんから煎餅を一袋貰って執務室に戻った。白ひげ海賊団とやり合ったあのマリンフォード頂上決戦から過ぎる事数ヵ月。黒ひげによってバラバラに破壊された海軍本部は、徐々にかつての面影を取り戻しつつある。しかし海は時代を逆行したかの様に大荒れだ。
「書類提出してきたら、ガープさんにお煎餅貰っちゃった。誰かさんのせいで疲れたし、休憩したいなぁ…」
ぼふんとソファーの背もたれに飛び掛かる。この部屋の主、青雉は誰が言わなくてもいつも一人休憩しているみたいだけど部下の私が勝手に休憩する訳にはいかない。一応許可は取っておかねば。
「…って、あれ?」
ふと目を遣れば、ソファーには誰も居ない。と言うよりも最初から誰も居なかったのか。部屋に入って脇目も振らず真っ先にソファーに突っ込んだせいか、青雉が居ない事に気付かなかった。
「またどっかに抜け出したの?」
ようやく海軍本部に平和が訪れて来たと言うのに、以前と変わらない上司の行動に溜め息だって出る。
「…青雉が悪いんだからね」
こういう事は所謂やった者勝ち。私はそう一言呟き、ソファーへ寝そべった。流石は青雉が使うだけあり、大きなそれに思い切り足を伸ばす。欲を言えばクッションとブランケットくらいは欲しかったが、今回は仕方ないと諦めた。
「平和、だなぁ…」
大将のくせに、肝心な時は現場にお呼びがかかる事が無い。この前だって出動しようとしたら殺到する書類処理に引っ張られたし。ふぁと欠伸が一つ漏れる。
「…眠い」
最近、ようやく青雉の事が分かってきた気がする。要はお節介なのだ。あれやこれやと首を突っ込んで。
(勝手に人の事を心配して…)
ニコ・ロビンの件も私の事もそう。
「いい加減にしないと、この先苦しむのはマリア自身なんだよ?」
しかし確かな事は、そんな彼の中にこれっぽっちも嘘が無かった事。心から相手を心配して、やんわりと逃げ場所を作ってくれる。私にも与えてくれた。
「…おひさまの匂い」
気が付けば、あの広い背中に寄り掛かっていた。肩の力が抜けた気がした。…人を信じて良いのだと思った。
「…早く帰ってこい、ばーか」
お腹すいたなぁ、なんて思いながら、ソファーに頬を擦り寄せる。ぽかぽかと暖かい太陽の光を浴び、私は徐々に重くなってきた目蓋をそっと閉じた。おやすみなさいを残して――
マリーナの瞼にキスを
(絡む指先の冷たさにハッとした)
―――――
ヴェロニカでifな未来展開。
青雉に甘えてみました。
(title:アメジスト少年)
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