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蓮路さん、キス上手いんだよな。
過去何人かの女の子とお付き合いをした蓮路さんはキスが上手かった。
だから、押し倒したくなる。
蓮路さんチに来るたびにキスをせがんだり添い寝をせがむ。一緒に寝たいしキスしたい。
「蓮路さん」
「んー?」
蓮路さんの唇がオレの唾液で濡れている。見上げて来る瞳は凄く真摯で、手を出しにくい。
「なんだよ?」
「あ……、ううん」
好きだから、したい。好きだから、手を出したくない。そんな葛藤。
「眠くなって来た。寝るかな……」
時計を見ればもう2時近い。
「一緒に寝よ? 添い寝して」
「添い寝……。お前、子供かよ」
「いいじゃない」
「毎回添い寝だとかキスだとか、お前うるさいな」
テレビを消して寝室に入って行く蓮路さんに付いていく。一緒にベッドに入り込む。
「だって好きなら傍にいたいし。キスしたくなるでしょ?」
「……まぁな。お前はやり過ぎ。添い寝だ、キスだ、全く。その気にさせるくせに手ぇださないお前にイライラする」
「……え」
今、何か聞き間違えただろうか。
「俺から誘っても良かった。けど! 手ぇ出したくてウズウズしてるから待っててやったのに、一向に手ぇ出して来ない虚しさ、お前わかるか? あ? へたれか」
「……手、出して良かったの?」
「へたれ犬」
キスされた。蹂躙するように舌でかき回され、吸われ、唇が離れた時、口の中と唇が熱を持っていた。
「蓮路さん、キス上手過ぎ……」
勝ち誇った顔をして下半身に手が伸びて来た。
「多分下手だからな」
そう言うと蓮路さんの頭が下がっていく。
「ん、あ」
蓮路さんの舌が俺自身を舐め、咥えた。
技巧らしいものはない。キスに比べたら拙い。それでもオレは興奮していた。普段の蓮路さんが自らこんなことしそうにない。頼んでもフェラなんてしてくれなさそうだ。なのに……。
「れ、蓮路さん。離して。出るっ」
「ん」
ジュッと吸われてビクッと腰がしなり、蓮路さんの口の中に放っていた。
「はぁ……、蓮路さん、ごめん。出して」
慌てて近くのティッシュをひっつかむ。
「いらね。飲んだわ」
「……」
「あれ? 駄目なわけ?」
キョトンとした顔で聞かれた。
「駄目じゃないけど、オレが病気持ってたらどうすんだよ、もうー」
「持ってないだろ。お前の事だし」
「いや、うん。持ってないよ、持ってないけど!」
「なら、いいじゃん。不特定多数とするわけじゃないし」
そうなんだけどね、なんか蓮路さん、危機感薄い気がするなぁ。
「心配するな。お前だからだよ」
蓮路さんは破顔する。
そうか、信用されてんだね、オレ。
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