▼ Prologue
「好きです」
凜とした拓海の声。
その声に返事をしていた。
「うん、俺も」
本気の告白の返事にしては軽すぎた返事だった。
けど、そう俺のほうが、この凜とした空気に緊張していたのかもしれない。
軽すぎた返事を拓海は本気と取れるはずもなく。
「オレは、」
言いかけた拓海の言葉を近づいてキスで塞いだ。
「わかってる。わかってるよ」
拓海の広い背中に手を伸ばし、ぎゅっと力を込めた。
「うん」
俺の返事の本気が伝わったのか、拓海も俺を抱き寄せた。
ああ、きっと俺、すごく顔が真っ赤なんだろう。顔も身体も熱い。
俺、瀧川蓮路が本気の恋をした瞬間だったのかもしれない。
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