「あっ」
思わず声が出て、草木江夏(エナ)は唇を噛んだ。
くすりと笑った気配に草木は目を瞑った。羞恥をやり過ごす為に。
「草木ちゃん、目開けて?」
佐野が耳元で囁く。
ふるふると首を振ればくいっと顎を掴まれた。この乱暴さは加賀だと思う間もなく口腔を貪られる。
「ふうぅ」
うめけばするりと加賀が出て行った。
え!?
いつもなら執拗に蹂躙するくせに。驚いて目を上げた。
「佐野。草木、目ぇ開けたぜ」
今日の加賀は機嫌が良さそうだ。
「草木ちゃんの気が加賀にいっちゃったじゃん」
そう言って佐野は草木のものを掴んだ。
「っつ!」
草木は息を詰める。
「そうそう、声出すなよ。ここ、図書室だからな」
本棚と本棚の間、あまり人の来ない一角で、草木は身体をまさぐられていた。
「や、めて。佐野」
「どうする、加賀」
今ありげに佐野は加賀を見た。
追い上げられた草木の身体は艶めいていた。
「やめてやれ、佐野」
なんの気まぐれかそんな事を言う加賀。頷いた佐野が草木はから離れた。離れていく時、はだけていたシャツからちらりと見える小さな乳首を触れていった。
「はっ」
それだけでも敏感になった肌は反応する。
身体は熱いまま。
熱を解放させたくて、手を中心に持って行く。
「草木ちゃん、やらしー」
「1人プレイを図書室で見れるなんてね」
図書館という言葉に草木は戸惑う。揺れる瞳が加賀と佐野を見た。
「帰ろう。緋沙矢(ヒサヤ)」
佐野が加賀の肩へ手を置く。
「またな、草木」
加賀が手を振った。
「え……」
草木は、慌てて佐野の服の袖を掴んだ。
「どうされたい?」
にこりと微笑む佐野は案外、加賀より腹黒いのかもしれない。
080929