ここに閉じ込められてどのくらいになるだろう。
ベッドが一つ。
それしかない部屋。
いや、まだあるか。
和威は壁を見上げた。
打ちっぱなしのコンクリートの壁にはフックが幾つか付いている。
天井にも。
ちゃりっと鎖が音をたてた。
和威の首には南京錠のかかった首輪。首輪からは鎖が付いている。
5メートル程の長さの鎖。
それは壁にしっかりと固定されていた。
「水、飲みてぇ〜」
一日放置され和威の口の中はカラカラに渇いていた。
真夏だぞ、ほっとくなよ。死ぬぞ。
気が遠くなる。
カチャ。
ドアの開く音。
「どう? 言う事聞く気になった? 和威」
「誰、が」
「ふうん。そんな事言うならもう一日ほっとこうかな」
「やっそれは!」
にこりとそいつは笑った。
「じゃあ言えるよな」
「将人」
「違うだろー。まぁお前から名前言われるのいいから許す。
ほら、和威。たった一言だぜ?」
将人は和威の大学の同期で。
親友のハズだった。
「水欲しいだろ?」
ぴくり、だるい身体が反応する。
「水……」
「言え、和威」
「オレは……」
ゆっくり目を閉じる。
「オレは……、将人のものだ」
将人は手に持っていた袋を和威に渡した。
「ご褒美にあげる」
それはうす茶の首輪だった。
「着けてあげる」
鎖付きの首輪が外される。
そして新しい首輪が着けられた。
「はい、水」
ペットボトルが差し出され奪うように飲み干した。
「部屋移ろうか、和威。ここ暑いだろ」
ああ、やっとこの部屋から離れられる。
そう思ったら、急速に意識が離れていった。