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「ごめんね、佳。やっぱり俺との事でも傷付いてる。……ごめん、ごめんなさい。……ごめんなさい」
「……謝らないで。花月さん」
ね?
と、笑む。
「俺、謝って欲しいわけじゃなくて……。笑って。笑顔でいて欲しいです」
にこっと風祭は笑顔になる。
「花月さん、いつも声かけてくれた、よね? いつもにこにこして、いいなーって思ってた。だから笑ってよ」
「佳……」
「忘れててごめんなさい」
花月さんは首を振った。
「……ごめんはもう言わない。佳もね?」
「続きそうだもんな」
風祭は笑みを見せる。
「……なんか、すっきりした」
「佳。親父のところと佳のじ様のところに言って来い。親父は言わないまでもお前が癒えて帰ってくるのを待ってたからな」
「ああ、神主の……。うん、行ってくる。花月さん、一緒に行きませんか?」
「そうだね。行こうか」
待っててと、風祭はオレらに顔を向けて花月さんと出て行った。
きっと花月さんはこの村を出れるようになる。
タバコに火を付けこっちをみてくる天馬さん。
「どっちが花鳥だ?」
「あ、オレです」
「じゃ、そっちが嵐か。お前は?」
ライちゃんを見る。
「真壁莱斗です」
「ふーん。一人だけ毛色が違ってるのな。いいとこの坊だろ」
ライちゃんの王子様は、実はそこからきてたりする。ほんとにライちゃん、いいところの坊なんだよ。
はいともいいえとも答えず、ライちゃんは天馬さんを見ている。
この類の話はライちゃん、好きじゃないんだよな。
でもその話題はそれまでだった。
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