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「……出世するまで友達でいてくれるんだ?」
「死ぬまで友達じゃん、バカ」
「重いよ、俺。まじで」
「上等だ」
「ふっ、はな、男前」
「今頃知ったかのか。コノヤロウ」
肩揺らして笑う風祭にこめかみグリグリしてやった。
「痛いから! あ、悪ィ、濡れたな」
風祭の身体が離れて目をそらす。
「見ていいよ?」
「何言ってんの。あとで包帯巻き直すよ」
「はーい」
危ういながら風祭は前を向いてる。
大丈夫、そう信じてあげなきゃ。
「リビングで待ってるね」
「うん」
部屋で着替えてリビングに戻れば心配そうな木瀬と目が合う。
「佳、強いね。脆いけど、ちゃんと真がある」
「……うん」
「でね? みんなで今から長野に行こう」
「なんで長野?」
ライちゃんの、なんでにオレは答えた。
「佳が行きたいって。今から」
嵐はじっとオレの手の中のモノを見てた。
リビングに佳が入ってくる。
さっき部屋から持ってきた花月さんからの白い封筒を風祭に渡した。
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