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リビングに招いて聞いた。
「ライちゃん、朝食はー?」
「食べてきた。お構いなく」
「そっか」
じゃあ、ライちゃんに紅茶を出して、朝ご飯食べちゃおう。
紅茶を出せば、ありがとうとライちゃんスマイル。
「ごち」
紅茶を出してる間に嵐は平らげていた。
「はな、片付けはするから食っちゃえよ。コーヒーおかわりは?」
「んん、いい」
まだ半分コーヒーが残ってた。
嵐は向かいの椅子に座って待っててくれてる。ほんとならライちゃんの側に行って懐かしい話でもしたいだろうに。
嵐のそんな気遣いが好きだ。
「嵐は違う学部? 見かけないよね」
「まーね」
嵐は頷いただけだった。
学部というか、大学も違うんだけど、嵐は何もそのことについて言わなかった。
食べ終えると嵐はほんとに片付けて食器を洗ってくれた。
嵐のコーヒーのおかわりをいれて、ソファーに座った。
「同居してるんだね」
「うん。うちの親、心配性だし。嵐の親は嵐が家事洗濯出来ないからよろしく言われるし。それでかな」
「仲良かったもんな」
「喧嘩もしたけど。高校ン時殴り合いして警察沙汰になったよ。なぁ嵐」
「ああ」
嵐の返事はさっきから短い。そしてそっけない。
ぷっとライちゃんが吹き出した。
え、何?
「ちっとも変わってないんだ」
オレは怪訝そうにライちゃんを見たら、隣で嵐も訳わからない顔をしてライちゃんを見ていた。
「帰るよ。お邪魔しちゃ悪いから。また月曜日ね」
ライちゃんは手を振って帰って行った。
「何だ、あれ」
「さあ」
ライちゃんの『ちっとも変わってないんだ』のあれは、よく意味がわからなかった。
「あいつ帰ったし、出かけるか」
「うん!」
やったぁ、デート復活。
原宿行ける。
ようやくネットショップじゃなく原宿の店で服を買えるよ。
「シャワー浴びる。その間に着替えとけ」
「っていうかオレも浴びたい。帰ってきてそのまま寝ちゃったから」
「あー、そうだったな。先、入れ」
合コンから帰ってきてシャワーを浴びなかったのを嵐は忘れていたみたいだ。
「サンキュー」
家を出たのはそれから1時間も後だった。
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