花も嵐も | ナノ


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幼馴染みでも、同じく上京して来てても、おれは嵐と大学は違うんだよね。

学ぶものが、目指すものが違うから。



「うぃーす! 友ちゃん」
2限目の講義を受ける為に廊下を歩いていた俺は後ろからタックルされた。

「うおっ、あっぶね」
人にぶつかりそうになった。

「キセぇ」
「わりぃ」
悪いと思っていないだろうと思われる顔がある。


「友ちゃん、今日暇? 合コンあんだけど来ない? 合コンとか言ってるけど、まぁ、あれだ。お知り合いになりましょう的な。まだ名前も知らない奴とかいるっしょ?」
「何、身近な奴ら?」
「そう。恋人欲しさの合コンじゃーなく、自分の名前を覚えてもらいましょうな会。2・30人来るよ」
「行く」
会費、二千円ね。木瀬が言った。安いな。

もうすぐゴールデンウイーク、友達増やしとくかな。

「友井花鳥、参加と」
そう、本名を花鳥っていうんだよ。花鳥風月の花鳥ね。
嵐なんかはさ、かちょうなんて呼ばずに花鳥の花をとって、はなだもんな。

字面だけみれば女の子の名前にみえるよね、この名前。

そうだ、後で嵐に電話しなきゃ。遅くなるって。


「あ、そだ。友ちゃん。友ちゃん、真壁と知り合い?」
「真壁? 誰、それ」
「だよなー。真壁って奴、おんなじ講義取ってる奴いるんだけど、友ちゃんが来るなら今日の合コン行くって言ってたから。知り合ってたっけと思って」
「男? 女?」
どんな人か思い当たらない。

「男。俺と高校一緒だったんだけど特に仲良かったわけじゃない。クラス3年間違ったし」
「ふうん。知らない。知り合ってない」
「だよねー。まー、悪い奴じゃなさそうだし、知り合ってみて。いやなら知り合いにならなきゃいい話だし」
「わかった」
頷いて。木瀬がじっとオレを見た。

「何?」
「別に出会いが目的じゃないけどさ、今日の。でもそうなりそう」
「なんで」
「友ちゃんに流れそうだよね、女の子」
「ないない」
高校の時だって嵐のほうがもてたのに。

「友ちゃん狙いの女の子、知ってるよ?」
「……その子、来るの?」
「来るよ」
「やっぱ、それ普通の合コンと変わりなくない?」
「でも名目上は、お知り合いになりましょう会だから」
「名目上だけだよな、それ」
「そうとも言う」
わははーと木瀬が笑った。

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