最強男 | ナノ


▼ 3

「それは組長も千草さんもそうだよ。似てないようで似てるよ、3人」
「ふうん」
さてと、と立ち上がる渚。
「寝るとするかぁ。仁はどうする?」
「もうちょっといます。もう1本吸いたいので」
煙草の箱を振ってみせる。
「わかった。おやすみ」
「おやすみなさい」
渚が行った後、1本目を消し、2本目に火をつける。
2本目を吸い終わってやっと腰を上げた。


部屋に戻ると千里がいた。
日本庭園を眺めていた。
「遅かったな」
「あ、渚と話しをして……」
じっと千里に見つめられ視線を外す。
「明日、別宅に行く。事務所にも回るからな」
「わかった」
「なぁ仁」
「はい」
「昇り龍にしよう。お前は龍が似合いそうだ」
「入れなきゃダメ……か?」
ふっと千里が笑った気がした。
「仁はかわいいな」
「かわいい!?」
「お前には覚悟がいる。ヤクザになるというな。墨を入れたらヤクザからは抜け出せない。
墨を入れる勇気もないのにヤクザになった気になるな」
「スカウトしたのはあんただ。墨を入れる約束はしてない」
「じゃあ、俺に抱かれる勇気はどうだ?」
「……抱かれるって」
仁は口ごもる。
「たいした覚悟だ」
冷たい視線に顔を伏せると上をむかされる。

千里の瞳が仁を切ったように思えた。
千里が仁に見向きもしなくなったら仁は行くところがないのだ。
職すらない。

「……どうすれば、いい?」
「脱げ」
黙って仁はシャツを脱いだ。

千里を見るとひかれていた布団を指した。
大きく息を吸って布団に座る。

「今、覚悟をしろ。後戻りは効かない。彫るな?」
「どうして昇り龍?」
「聞いたんだろ、千早が俺の弟だと。昇り龍は千早が入れるはずだった。ヤクザの子だからな。けどな、あいつには夢があった。刑事になるっていうな。あいつが入れるはずだった昇り龍だ。
あいつが墨を入れるのを覚悟をした時の顔、今でも覚えてる」
「そのセンパイの覚悟を背負えと?」
「それもあるが……。どうとろうとお前の勝手だ」


「……俺は、」
一言区切って仁は答えた。

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