小説(短編) | ナノ
*これも一種の病気だと思う(エース/男受主)








ファーストネームはマルコが好きだ。仲間の中でもそれはよく知られていることだし、ファーストネームの好意に対してマルコ本人も悪くは思っていない。むしろ最近は良い意味でちょっとファーストネームのことを気にしているように見える。実は二人が想い合ってることなんか衆知の事実だし、それを妨げる気もない。それでもファーストネームと特別な関係でありたいと思うのは、ただの可愛らしいヤキモチなんかじゃない。もっと醜いもの、嫉妬だ。マルコにするようにファーストネームが自分にも媚びて、俺の下で可愛い声で鳴いて、いやらしく腰を振ればなんて。罪悪感を感じながらも、今まで何回脳内でファーストネームを汚したことか。
そんな俺のいけない妄想が、最近リアルに習慣化しつつある。



「ほら、ファーストネーム……くわえろよ」



顔の目の前にすでにガチガチに勃起した性器を突き出せば、ベッドの縁に腰かけるファーストネームはあからさまに嫌そうな顔をすると、俺を睨んだ。そんなファーストネームの突き刺すような視線にも興奮して下半身に血液が集まってドクドクと脈打つのを感じるくらい、俺は脳細胞の一個一個まで気持ちよくなっている。心臓が早鐘を打って、息が上がる。変態だとかなんとかって罵られても仕方がないくらいに、俺はファーストネームのことが好きなんだ。
透明の先走りを先端からトロトロと溢れ出させるそれを見せつけるように手で支えてやると、ファーストネームはふいっと顔を背けた。そんな態度をとるファーストネームに対しても俺の好きの気持ちはおさまらなくて、俺とは対照的に色白のファーストネームの頬に亀頭を押し付け、先走りを塗りつけるように動かす。んぅ、と嫌そうに少しだけ声を漏らしたファーストネームはベッドに手をついて体を引くと、服の袖で頬を拭った。



『なぁエース…こんな関係、いつまで続けるんだよ』



不安そうに俺を見上げながら尋ねるファーストネーム。だが俺はそんなファーストネームをも無視し、肩を掴んで引き寄せると、軽く髪を掴んで性器に向かわせた。するとファーストネームも観念したのか、相変わらずの困った顔ではあるが薄く唇を開くと、先走りでテカテカと光るグロテスクなそれを遠慮がちにくわえ、口内では舌で刺激し始めた。同じ男であるファーストネームのするフェラは気持ちの良いツボをうまくとらえていて、その辺の娼婦のよりも断然気持ちがいい。ファーストネームのことを好いている俺にとっては、心苦しくも罪悪感や背徳感といったものが後押しし、さらにその快感が何倍にも増しているように思う。
そもそもこの情事が始まったのは、いつもの宴会の日の朝方、酔っぱらって理性がほとんどなくなってしまっていたのが大きな原因だった。宴会の輪の中、俺は大好きなファーストネームの隣をまるで特等席のように陣取っていて、離れようとはしなかった。そのまま楽しい時間は過ぎ、ほとんどの奴らが飲み潰れてしまったころ、俺はファーストネームを部屋に連れて来て、今みたいにフェラをさせたのだ。それが始まりで、週に3回ほどファーストネームに奉仕させることがほとんど習慣になってしまっている。



片手はベッドに、もう片方の手は性器の根元に沿わせてゆるゆると頭を動かすファーストネームの、男にしては少し長い艶のある髪を片側だけ後頭部の方に撫で上げると、くすぐったそうに片目を細めたファーストネームは、少しだけ動きを緩めた。こうして髪を触られるのが好きなのを一番に発見したのは俺だ。次第に必死になってフェラしていたファーストネームは、息苦しさから性器から口を離し、荒くなった息を整える。口から性器が引き抜かれた時に、唾液と先走りの混ざった粘着質な液体が俺とファーストネームを繋ぎ、それだけでも俺は異常なくらいに気持ちが高ぶる。そうすると我慢ならなくなるのが悪い癖で、仲間にもよく“熱くなるな”と注意される。



「ファーストネーム…吐くんじゃねェぞ…」



高ぶる気持ちはやはり今の未熟な俺には押さえることなんかできず、俺はやっと息の整ってきたファーストネームの髪を掴むと、片手で顎を掴んで無理やり性器を口内に押し込み、まるで性交中であるかのように激しく腰を振った。涙を流しながら苦しそうに声を漏らすファーストネームに加虐心が煽られ、思わず口元の筋肉が緩む。時々当たる歯がもどかしいように思ったが、噛みついたりなんかしないことを知っているために安心して行為に集中できた。30秒も激しい行為を続ければ、もう絶頂が近くなる。俺は何度も何度も、まるで恋人であるかのようにファーストネームの名前を呼び、遂に、欲をファーストネームの口内ではぜさせた。精液の苦味を感じた瞬間ファーストネームはおもいっきり顎を引き、そのおかげで出っぱなしだった精液はファーストネームの綺麗な顔に飛び散った。ドクドクと打つ脈と同調するように白濁した精液は飛び出し、ファーストネームの顔を汚す。
俺の精液でどろどろに汚れたファーストネームを見ると、言われもない征服感が込み上げた。











これも一種の病気だと思う



(残念ですが、処方箋はありません)









fin




20120112


エースの誕生日がいつのまにか過ぎていた。
っていうか誕生日小説の代わりがこんなドロドロの半狂愛小説ってエースかわいそう←





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