小説(短編) | ナノ
*生きるも死ぬもお前の自由だが、どうする?(マルコ/男受主)


ファーストネームが船に乗ってから初めての戦闘。憎たらしいファーストネームは、初めて人為的に人を殺めるというのに、何の躊躇いもなく敵の体に刃物を突き刺した。返り血が髪をべとべとに濡らそうが、特に気にするわけでもなく、ただひたすら目の前の人の命を奪っていった。そんな、人の心を持たないのかと思うほど冷酷なファーストネームを見ていると、不意に敵の銃弾が数発、まだ刺青の入っていない綺麗な体に吸い込まれて行くのが見えた。その部分から赤い血が飛び散り、間もなくして死体の重なり合う甲板に、ファーストネームの体が沈んだ。しばらく倒れたあたりに視線を向けていたが、地に伏した敵を含め、誰一人として動かない。さすがに心配になって、姿を変えてそこまで飛び立つとそこには、床に横たわり、息は絶え絶えに、うつろな瞳でどこかを見ているファーストネームがいた。





「こんなところで死ぬのかよい」





苦痛に僅かに顔を歪めるファーストネームは俺の問いかけには答えず、ただ細い息を繰り返した。ごぽっと口から血を吐くと、ファーストネームは僅かに開いていた瞳を閉じた。この期に及んでも命乞いをしないファーストネームが面白くなくて、足でその肩を押し、うつぶせから仰向けにひっくり返してやった。その際に苦痛から顔を歪めたファーストネームは、苦しそうに眉間にしわを寄せたまま、薄く目を開いた。
まだ16のガキのくせに偉そうに。





「一人じゃ生きていけねぇくせに……」










生きるも死ぬもお前の自由だが、どうする?







『…っ……たす…けて……』





泣きながら小さく呟いたファーストネームの隣にしゃがみこみ、もう誰のかも分からなくなった血でぐちゃぐちゃになった頬を撫でた。しょうがないから助けてやろうと思う。







fin






20110810


強がりな主人公を甘やかすマルコが好きですっていうかマルコならどんなマルコでも(ry





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