小説(短編) | ナノ
すきです(マルコ/ 男受主)



*現パロ/サッカー部





疲れましたねーと、ファーストネームは重いかばんを猫背の背中に背負うと、首にタオルをかけた。夏の練習はかなり辛い。ずいぶん日は長いというのに、それでも真っ暗でボールが見えなくなるまで練習は続く。おかげで体は毎日ぼろぼろ、スパイクの穴だって広がってしまい、気分まで落ちる。
明日は小テストがあったな、なんて考えると、更に気分は落ち込み、むしゃくしゃしてファーストネームの手からスポーツドリンクを奪い、一気に飲み干した。酷い!とか外道!とかいう怒った声が聞こえたが、聞き流す。



空になったペットボトルを渡すと、いりませんよこんなの、と呟いたファーストネームは、数メートル先のゴミ箱にペットボトルを投げた。コンッと間抜けな音を立てて弾かれたそれは、無情にもコンクリートの上に転がった。分かりやすいため息を吐いて、ペットボトルを拾いに行こうと心底面倒くさそうにだらだらと俺の前を横切るファーストネームのケツを軽く蹴る。つまずいた後に勢いよくこちらを振り返ったファーストネームに、マルコ先輩!と怒鳴られて、してやったり、と思わず笑ってしまった。



「まったく、お前は可愛い後輩だよい」



ゆっくりとした歩調でペットボトルを拾いに道を反れたファーストネームを追い抜いた俺は、疲れて動かすのが辛い足をどうにか動かしながら、駅までの距離をたしかに縮めていた。後ろからは、可哀想の間違いでしょ、と小さな反論が聞こえたが、面倒だから聞こえなかったことにしよう。



ファーストネームはほんとに可愛い。俺は愛想が悪いから、ほとんど後輩が寄り付かない。サッチやエースを慕い、仲良くしている後輩はたくさんいるが、なかなか俺は後輩との距離を縮めることができないらしい。そんな俺に唯一なついているのがこの馬鹿、ファーストネームだ。マルコ先輩マルコ先輩、と後を追っかけ回され、個人指導まで頼まれた。まあ嫌でもなかったし、おなじポジションだから、自分が怪我をした場合とか緊急時を想定して、みっちり指導してやった。
最初は面倒くさい野郎だと思っていたけど、最近ではだんだんファーストネームが分かってきて、一緒にいるのが楽しいと思えるようになった。



ペットボトルをきちんと捨てたらしいファーストネームは、俺の数歩後ろを歩いているようで、靴を引きずる音がする。振り替えってみると、ファーストネームはケータイをいじっていて、なんだ、と少し落胆した。一緒にいるのに全く別のことをしていることを、並行なんとかっていって、カップルが長続きする方法が、案外これらしい。まあ、どうでもいいか。



ファーストネームも好きなことをしているし、俺も音楽でも聞こうか。そう思い、鞄からウォークマンを取りだし、イヤホンを耳に突っ込もうとした、その時、不意に後ろから名前を呼ばれた。ん?と振り替えると、そこには立ち止まってまっすぐこっちを見るファーストネームがいた。不思議な光景に呆然としていると、ファーストネームの口が開いた。











す き で す



(馬鹿、知ってるよい)(馬鹿じゃないです)






fin





20110901


先輩、後輩って萌えませんか、まりあだけですかこういうの←
マッハで書き上げたから右手が腱鞘炎になりそうなくらい痛いorz






[list][bkm]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -