小説(短編) | ナノ
彼シャツ(マルコ/男受主)






少し肌寒くて目が覚めた。朝方の海上はやはり冷える。布団を肩まで引き上げ、目の前でまだすやすやと眠るファーストネームに体を寄せ、温もりを分けてもらう。まだ子ども体温のファーストネームは、触れているととても落ち着く。エースの年中高体温も温かいのにはちがいないが、ファーストネームはどこか違う、柔らかく優しい温もりを持っている。
穏やかに上下を繰り返す肩を抱き、後頭部の髪を持ち上げる。艶のある髪はサラサラと白いシーツにこぼれ落ちた。



『・・・マルコ・・・?』



髪で遊んでいると、眠たそうに目をうっすらと開けたファーストネームが、かすれた声で名前を呼んだ。俺がおはよう、と朝一番のあいさつをすると、ファーストネームは小さなあくびをして、それからあいさつを返した。眠たそうなファーストネームは俺の腕から抜け出して起き上がると、何か着るものはないかと尋ねた。とりあえず俺の白いシャツを渡すが、ボタンをきっちり閉めても、小柄なファーストネームにはぶかぶかで。
ちょっとおっきいな、そう言って長い袖から指先だけを出し、ワンピースみたいに長い裾を持ち上げるファーストネームは、不意に袖に鼻をくっつけると、すんすんと犬みたいに匂いを嗅いだ。



『ふふっ・・・いいにおい』



彼シャツって憧れだったんだ。はにかんで少し顔を染めるファーストネームは、自慢してくると言い、扉に手をかけた。しかし、そんなこと俺が許すわけがない。俺は慌ててファーストネームの腕をシャツ越しにつかみ、自分の方に引き寄せた。
女の子みたいな顔つきで、女の子みたいな服を着て、生足さらけ出して他の男の前にこいつをさらすなんてこと、危なっかしくてできやしない。自分が可愛いってことを自覚しろよい、と注意すると、どうやらファーストネームは怒ってしまったようで、束縛は嫌いだ、とそっぽを向いてしまった。
こういうところも含めて、コイツは全部が可愛いんだ。



「今度はその格好でヤるかい?」










彼シャツ



(もしかしてマルコ、この格好気に入った?)(よい)





fin



20110830


彼シャツには個人的にかなりの憧れがあります(・ω・`
ぶかぶかのシャツ萌え!!






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