小説(短編) | ナノ
砂糖水の海に溺れる(ミホーク/ 男受主)





1時を回った。
政府から送られた大量の資料にもやっと目を通し終え、灯りを消し、ミホークはベッドに向かった。たどり着いた一人には広すぎるダブルベッドに視線を向けると、誰もいないはずの布団が膨らんでいて、それがもぞりと動いた。ミホークは驚いた様子もなく、表情を変えずにベッドの脇に座り、その膨らみにそっと手を乗せた。



「まだ起きていたのか?」



ミホークの呼び掛けに、ゆっくりと布団から目より上だけを出したファーストネームは、眠れないから来てしまったのだと、申し訳なさそうに小さくぼそぼそと呟いた。顔の横で布団を握りしめる手は相変わらず小さく、可愛らしい。
ミホークはファーストネームのかぶる布団を肩まで引っ張り下ろした。それを悪いように解釈したらしいファーストネームは、はっとしたように体を起こした。



『邪魔、ですよね』



すみません、そう言ってそそくさとベッドから降りようとしているファーストネームの右腕を、ミホークはがっしりと掴んだ。驚いた様子で、降ろした片足と掴まれていない左腕を持て余しているファーストネームは、どうしたんですか、と目を泳がせた。それをおもしろく思ったらしいミホークは、ファーストネームを強く自分の方に引き寄せ、軽く組み敷いた。



『ミ、ホーク・・・さま・・・』



「そう怖がらなくてもいいだろう」



ミホークがファーストネームの白い首筋に顔を埋めて、その柔らかい肌に舌を沿わせると、こういう行為には慣れない体は、びくびくと大袈裟にリアクションをとった。息を詰まらせ、体を硬直させて与えられる刺激に耐えようとしている小さな体に、やはりおもしろいと珍しく頬を緩ませたミホークは、少しいじめすぎたかもしれないと反省し、最後に、終始半開きで短く息を吐いていたファーストネームの、女の子のようにピンクでぷっくりとした艶のある唇に口付け、ファーストネームの上から退いた。



やっと解けた緊張から小さなため息を吐いたファーストネームは、自分も体を起こすと、崩れたパジャマを整え、少し赤くなった顔を隠すようにミホークに背を向け、じゃあ僕は自分の部屋で寝ます、と再びベッドから降りようとした。それが本心ではないことくらい分かっているミホークは、先ほどのようにファーストネームの腕を掴み、今度は優しく自分の方に引き寄せた。



「寂しいのなら素直にそう言え」



図星をつかれてうつむき、恥ずかしそうに顔を真っ赤に染めるファーストネームの、同じく赤い耳にキスを落とすと、ミホークはファーストネームを抱え込んだまま、布団に潜り込んだ。ダブルベッドの真ん中、二人は肩を寄せ合い、眠りにつくのだった。








砂糖水の海に溺れる



(明日も来ていいですか?)(ああ、毎日でも構わないが)




fin





20110829


ブログで提案していたネタ第一段書いてみましたが、夜這いどころか、当初のイメージとは全くの別物にorz
でもまりあはミホ様に首筋舐めてもらったので満足です←






[list][bkm]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -