小説(短編) | ナノ
お前の方が上手だった(マルコ/ 男受主)






いきなりだが、おれの方が絶対キスがうまいと思うんだ。たしかに、いつもマルコがしてくれるキスはものすごく甘いし、キスだけで腰が砕けそうになるほどいい。おれはそんなマルコのキスが大好きだ。それは、おれよりも多くのことを経験してきたマルコだからこそだと思うし、経験の数が敵わないことくらい分かってる。
でも、そんなマルコよりも、おれはキスがうまいと思うんだよ。



「落ち着けよい」



椅子に座るマルコの膝に両手をついて身を乗り出し、真面目に力説をすると、いったいどうしたんだと言わんばかりの視線が返ってきた。
だって、おれの方が若いし、きっと舌だって上手に動かせるよ。マルコが大好きないやらしい顔だってできるし、気持ちよくさせてあげることだってできる。とにかくマルコになんか負けない。



「なら・・・試してみるかい?」



意地悪く笑ったマルコは、おれの胸ぐらを掴んで引き寄せた。それだけで腰が疼いてしまうおれは、そうとうマルコに溺れてると思う。誘われるがまま、マルコの唇に自分のものを押し付けると、すぐに薄く開いたマルコの口内に舌を差し入れた。
マルコがおれの太ももを持ち上げるように引き寄せてきたので、おれはマルコの膝に乗り上げ、首に腕を回した。



『ん、・・・っはぁ・・・』



おれが差し入れた舌に巧みに舌を絡めてくるマルコに、思わず気持ちがよくなって、シャツをぎゅっと握りしめた。でも、こんなところで負けるわけにはいかないんだ。おれが言い出したんだから。おれはマルコのシャツを握りしめながら、必死で舌を絡めた。目一杯舌をつきだして、マルコの口内を動き回る。当のマルコはやっぱり余裕そうに、おれがどれだけ出来るのか、自らの身を持って試しているかのようだ。



結構長い時間おれにつきあってくれていたマルコは、いよいよ攻めの姿勢に移ったらしく、おれの舌を強く吸った。とたんに腰が痺れるような感覚がして、おれは思わず舌を引っ込めた。ちうっと可愛らしい音をたてて引っ込めた舌を追って、マルコが一旦離れた唇を再び合わせてきた。



『まるっ・・・』



おれの制止の声も聞かずにすぐに唇を塞がれて、舌を入れられた。
このままじゃマルコの思うがままだ。そう思ったおれはマルコの肩を押して、自ら頭を引いて逃げようとした。が、瞬時に腰に手を回されて引き寄せられ、後頭部の髪を掴んでマルコの唇に押し付けるように力を入れられ、抵抗もむなしく、おれはただ彼から与えられる快感を黙って享受するほかないまでに追い詰められてしまった。



「気持ちいいだろい・・・?」



僅かに離れた唇。吐息のかかる距離でそう尋ねられ、もう全身の力が抜けてしまったおれは、黙ってうなずいた。満足そうに唇を舐めたマルコは、大丈夫かい?とおれの体を気遣いながら、ベッドに座らせてくれた。キスだけでヘトヘトになったおれは、そのまま横に倒れ込み、ふかふかの枕に顔を埋めた。ふとマルコを見ると彼は苦笑いでこちらを見ていて、やられてしまったことに今さら悔しさが込み上げてきたおれは、なんだよ、とマルコを上目で睨んだ。



マルコがベッドに腰かけると、二人分の重みにスプリングが軋んだ。マルコはすっかりへたってしまったおれの頭をぽんぽんっと撫でると、ちゅっと音を立てて耳にキスをした。そんなのでおれの機嫌がとれると思ったら大間違いだぞ。おれはマルコの枕をぎゅっと抱え込んで、相変わらず笑っている彼を睨んだ。



すると、あろうことかふんっと鼻で笑ったマルコは、おれの顔にかかった髪を優しく払い、こう言った。











お前の方が上手だった


(俺も気持ちよかったよい)(・・・おれのが気持ちよかったもん)







fin





20110828


いちゃいちゃあああああああ!!
いちゃいちゃ大好きです!☆←






[list][bkm]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -