小説(短編) | ナノ
スーパーボール(ミホーク/ 男受主)






『ミホーク!こんなの作ったんだ!』



見て見て!そう言ってぼくは、屋敷の外の小枝とか木の実とか毛糸とかビーズを紙に貼り付けて作った、自称芸術的な作品を、椅子に座って新聞を読んでいるミホークの前に突き出した。ミホークは新聞からぼくの作品に視線を移すと、じっと見つめた。あまりにも作品を凝視しているもんだから、そんなに出来がよかったかな、と期待をしてしまう。
が、ミホークからかけられた言葉は、そんな期待からはあまりにもかけ離れたものだった。



「また一人で外に出たのか?」



作品からぼくに視線を移し、そう尋ねたミホーク。ぼくは図星をつかれて、思わずうつむいてしまった。
この島は不思議なものが沢山ある。不思議で危険な生き物も沢山いる。ぼくはミホークみたいに闘えない。奴らに襲われでもしたら、きっと闇に引きずり込まれて、もうこちらには帰ってこれないだろう。それを危惧して、ミホークからは許可なく外出するなと強く言われているのだ。
危ないとあれだけ言っただろう、と釘を刺されて、ぼくは素直に頷くことしかできなかった。



『ごめんなさい、でも――』



言い訳など聞きたくない。ぼくの言葉を遮ってそう言い放ったミホークは、ぼくの手から作品を取り上げた。せっかくミホークを喜ばせようと思って作ったのに。そう思うと悲しくなって、じわじわと涙が溢れてきた。ここに居ても悲しさが増すだけだ。ぼくは自分の部屋に戻ろうと立ち上がり、ミホークに背を向けて歩き出した。部屋を出ようとした、その時。



「ファーストネーム」



背後から不意に名前を呼ばれ、怒られるのかと思って思わず肩が震えた。恐る恐る後ろを振り向くと、相変わらず椅子に座って、こちらに見せるように作品を持っているミホークが。それをきょとんと見ていると、ミホークはおかしそうに微笑んだ。



「今度、これに合う額でも一緒に買いに行こう」



ミホークの言葉に、今度こそぼくのこころは高鳴り、踊った。目にうかんだ涙を袖でごしごしと拭うと、ぼくは元気よく頷いた。
ミホークの微笑みと、時々かけられる優しい言葉。それだけでぼくの気持ちは、スーパーボールみたいに、高く、高く跳ねるんだ。









スーパーボール



(最高の出来だな)(へへっ、ありがとう)






fin





20110825


初ミホーク!
かっこいいですよねーwwww
なんか今回は、主人公が12・3さいくらいのイメージです(・ω・)






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