小説(短編) | ナノ
陸の孤島(マルコ/男受主)
*サッチ目線
マルコとファーストネームはむちゃくちゃ仲が良い。長年ここにいる、所謂古株の俺が言うんだから間違いない。今までいろんなカップルとかは見てきた。ナースとクルーの男女のカップルも、男同士のむさ苦しいカップルも。まだ16の、子どもじゃないかっていう新人ナースと、30近いおっさんのカップルもあったっけ。まあすぐに破局が報じられたが。
そんな中、生き残っている年の差カップルがこいつらだ。
『マルコ、おれマルコと一緒に風呂入りたいな』
「またかよい、まったくお前はガキみてぇに甘えただな」
お前が甘やかすからこんなんになっちまったんだろうが。船に乗った頃はもっとスレてたというか、凛々しかったというか。ちょ、キモいキモい、にやけてるマルコキモい。
遠目で見てても分かるくらい幸せオーラ全開の二人は、やっぱり今日もいちゃいちゃいちゃいちゃと触れあっていた。
ファーストネームは、最初は兄みたいにマルコの背中を追っかけていた。船に乗ったのが確か14とか13とかそれくらいだったから、まだそうやって誰かを頼りたい年頃だ。後は追っかけ回すが、常に付かず離れず。たまに、鍛練に付き合え、とかなんとか憎たらしく命令しては、そのたんびにこてんぱんにやられてたっけ。
マルコもその頃はファーストネームに対して、どちらかというと冷たかった。あんまりガキが得意じゃないらしいが、ファーストネームとも接触を避けてた気がする。
二人がこんな風になったのはいつからだったんだろう。
『マルコ、今日はマルコの部屋に寝に行ってもいい?』
「今日“も”、だろい。まあ別に構わねぇけどよい。」
ちょっと冷たくあしらってるつもりかもしれんが、ファーストネームにベタ惚れなのが丸分かりだ。
まるで猫みたいにべたべたとくっつくファーストネームと、それを撫でたり軽くキスをしたり、とにかく甘やかすマルコ。こんな光景も、もう3年過ぎると慣れてしまった。最初は甘々なマルコに鳥肌が立ったもんだ。
『マルコ、キス』
「ったく、こんな所で・・・」
って言いながらもするんだよなあー。ちなみに、ここ食堂。皆で朝食を摂っているところだ。誰かこのバカップルにTPOって言葉を教えてやってくれ。
陸の孤島
(テメェら勝手にワンダーランド作ってんじゃねぇぞ、バカップル!!)
fin
20110817
電波でバカップル
[list][bkm]