可愛いんだから仕方ない






部室内の机の上に放置されている1つのペットボトル。冷たかったであろうそのペットボトルは全体に水滴がついていて半分ぐらいまで飲んである。至って普通のペットボトルやけど、ラベルには「激うま!新発売!オクラジュース」と絶対不味いやろと突っ込みたくなりそうな商品名が記されてあった。
うちの部活でこんなんを飲む奴は、1人しかおらん。

「…どんだけオクラ好きやねん」

ぼそっと、誰も居ない部室で俺は呟いた。でもそんなところも可愛いと思ってしまう、自分がいることも事実だった。突っ立って少しの間考えてると、ガチャッと扉のドアノブが回った。それと同時に入ってきたんは、我がテニス部変態部長の白石くんやった。

「なんや謙也。もうおったんか」

「おん。まぁな」

「…?何突っ立ってるん?」

俺が部室のど真ん中に突っ立っとるんを不思議に思ったんか白石は首を傾げて俺に尋ねた。頭をポリポリ掻きながら少し口ごもって俺は答える。

「いやぁ…。このペットボトル…」

「?…あぁ。ユウジか。」

「………可愛ええな思うて」

「おん。可愛ええな」

「…しかも小春んことしか頭に無いけどちょっと悲しいことあったらすぐ凹んですりすり寄ってくるとことかごっつ可愛ええ。寂しかったらすぐに死んでしまいそうになるとことかおっきい目で見つめてくるとことかふるふる震えとるとことか兎そっくりやわ」

「それなら、触れたら壊れそうに細いあの首も、腕も、足も全部可愛ええ。首なんか筋入りすぎやろっちゅーぐらいエロい線入りまくりやし、喉仏なんか飲み物飲む度に動きよってもう半端ないわ。淡い緑色の髪の毛もサラサラしとってバンダナからはみ出とる毛のハネ具合も全部絶頂や」

「エメラルドとか宝石みたいにキラキラ輝いとんのに透き通っとるおっきい猫目で見つめられたらもう寂しい思いなんか絶対させへんってなるわ。あのぷるぷるな唇も最高や。真っ赤でもないしどっピンクっでもないほんまに水彩絵の具を1滴落とした感じのほのかなピンク色がたまらへんわ」

「あと指がごっつ長くて綺麗。男子とは思えんぐらい美白やし、そこら辺の女子よりすべすべな肌しとる。美白やから照れたりしたらほっぺたがすぐにほんのりピンクに染まるんが見とってたまらん。しかも照れ始めたらほっぺたどころじゃなくて耳まで真っ赤にして照れてしもてこちとら正気を保つのに必死やわ」

「時々見せる男前なユウジもたまらん。小春一筋っていうのも、困っとる女子とか老人助けるんも、全てに至って男前や。女子とかにはなんや服のこととかでアドバイスしとるっちゅー話やし。小春以外には興味持たへんって口では言うとるけど実はお人好しんとことかほんまいい」

「だから」

「あぁ」


「「ユウジは可愛ええ」」



「…部活、行くか。謙也」

「…せやな、白石」
















(なんか部室ん中で話しとったんやけど!?え!?ユウジ言うたよな俺!?俺んこと!?…………え!?)




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(あらユウくん。どないしたん?顔、真っ赤やで?)

(小春ううぅぅぅうううう!!)











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