金太郎生誕記念






「そういえば、金ちゃんって早生まれなんたいねぇ」

事の始まりは、部活の休憩時間の千歳の何気ない一言から。その一言を聞いた他の部員も顔を見合わせながら「そういえば…」と頷いていく。

「し、白石。早生まれってなんや?」

「はっ、」

金ちゃんが真剣な顔して聞いてくるもんやから思わず間抜けな声が出てしもた。金ちゃん中学生にもなって知らんのかいな…と心の中でツッコミながらも、無駄のない説明をするために分かりやすい言葉を探す。

「うーん…。四月一日に生まれた人は普通よりも一つ上の学年になるんやで。やから金ちゃんは同級生ん中で一番遅い誕生日なんやなぁ」

すると金ちゃんは訳が分からないのか頭を抱えて唸り出した。すると謙也が

「…金ちゃんが一日でも遅く生まれとったら俺等とテニスできてへんかったんやなぁ…」

って感慨深く呟くもんやから、聞き逃さんかった金ちゃんがパッと顔をあげ「それは嫌や!!」って悲しそうな顔で言った。

「白石等とテニスできてへんとか嫌や!わいそんなの嫌や!!」

金ちゃんがあんまりにも泣き出しそうに言うもんやから、キッと謙也を睨んだったら申し訳なさそうな顔で両手合わせてた。謙也あとで泣かす。

「大丈夫や金ちゃん。実際今こうして一緒にテニスできてるやん。金ちゃんが四月一日に生まれてきてくれたおかげやで。」

「せやで金太郎はん!私かて金太郎はんと一緒にテニスできて嬉しいわ!」

「金ちゃんが早生まれで本当によかったと〜」

「金太郎おらんと四天宝寺って感じせえへんもんなぁ」

「おっ、健坊ええこと言うやん!」

皆が口々に言い出すと、金ちゃんの顔もだんだん笑顔を取り戻してった。そんな金ちゃんの頭を撫でたるとニッコーって笑うもんやから釣られて俺も一緒になって笑った。

「次の金ちゃんの誕生日には…。俺等はもうおらんけど、必ず祝いにくるからな。待っとってや金ちゃん!」

「おん!!むっちゃ楽しみにしてるわ!!」

俺等と金ちゃんはそんな約束をして再び部活に戻った。

十四歳の金ちゃんを見る頃には、夏の大会も終わって、受験も終わって、また皆で集まれるやろう。
あの金ちゃんが十四歳になってまだ「たこ焼きー!」言うてんの想像したら、なんか可笑しなって俺は一人で小さく吹き出した。




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HappyBirthday!!金ちゃん!!











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