これが最高のバッドエンド




親に、財前光っちゅうひとつ下の、後輩と付き合っていると言ったら、今までとは比にならんぐらい思いっきりぶん殴られた。不思議と痛いとは思わなくて、ああやっぱりかって、心の中で思うことしかできなくて。

別れろ、ふざけるな、男同士が付き合っていいはずがない、別れろ、別れろ、死ね、シネ、シンデシマエ

そんな暴言を吐かれた挙句、俺の携帯から光にまで電話かけて俺に言ったことをそっくりそのまま言いよった。電話が終わったら携帯をへし折って、俺と光の連絡手段を途絶えさせた。

俺の親に別れろと、死ねと言われて向こうの電話口で聞いていた光のことを考えたら頭の中が真っ白になって、気付いたら行動に移してた。
玄関に置いてあった金属バッドを握りしめて、

光はきっと今頃泣いとる。床に座り込んで、自分が男に生まれてきたことを後悔しながら、自分を責めて、声を押し殺して、泣いとる。きっと、きっと、こいつの、こいつのせいで、もう親とは思わない、こいつ、の、せい、で、

力一杯、親父の頭に金属バッドを叩きつけた。横でおかんが泣き叫んだ。次は自分がこうなるってわかったんやろう。部屋には真っ赤な液体と、親であった人たちの叫び声で溢れた。俺がいつも大音量で音楽鳴らしてたら、隣近所にご迷惑でしょといつも叱っていた人が、隣近所の迷惑を考えずにうるさく叫んでいる。

悪かった、許す、許すから、やめろ、やめろ、やめてくれ、頼む、やめろ、や、めろ、ヤ、

あかん、もう遅いーーー。

どれぐらい経ったかわからん頃に、俺は目の前の光景を見て、なんとも言えない幸福感に満ち溢れた。
俺たちの邪魔をする奴はもう居らん。
これで、俺たちは幸せになれる。
でも、無理や。
俺は、殺してしまった。
人を殺してしまった。
そんな奴を光の横においとくわけにはいかん。
光、光、光、最後に一目会いたかった、一言だけでも声を聞きたかった。
もう一度だけ、抱きしめたかった。
俺は、光の隣には、もう、居ることは、でき、ん。

気付いたら手には包丁が握られていて、青い筋が浮かび上がっている手首にそっと押し当てて、すっ、と、横に滑らせて、


もしも生まれ変わったら、なんの障害もなく、光と結ば、れ、ーーー。




---------------------------
どうか、俺が居らんでも、
幸せにーーー。






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -