「今すぐキスしろ」






何故俺が今部室のど真ん中で正座して幸村に見下されているかというと、幸村との約束を破ってしまったからである。「約束」っちゅーと聞こえはいいが、俺達の間で結ばれた「約束」はそんな綺麗なもんじゃない。無理矢理結ばされた約束を綺麗と言っていいものか、否、言い訳がない。


ことの始まりは最近あった定期テスト。俺とブン太、そして赤也が赤点をとったところから始まった。

「へぇ、赤点。それじゃあチャンスを一回だけあげるよ。次のテストで挽回したらお咎めなしでいいよ。でも赤点とったらそれなりのペナルティを受けてもらうからね」

俺はいつものことだから、と大して気にも留めなかったけどブン太と赤也は真面目に勉強して赤点を出さなかった。あいつ等何ちゃっかり裏切っとんじゃ。


で、今がそのペナルティの真っ最中。幸村が喋らんくなったから気になってちょっと顔を上げたらすごい顔した幸村と目があった。やっべ超こわい今日の幸村のオーラぱねぇ。

「さぁて、まずは何をしてもらおうかな」

上から幸村の怒り混じった声が俺に降りかかる。頼むから、頼むから全裸系はやめて。半裸ならまだ頑張れる。全裸で校庭一周とか俺はもう

「とりあえず、キスしよっか」

「…は?」

幸村が何を言ってるのか分からなくて顔をあげた。けど、俺の目の前にはいつもの怖い幸村しか居らんかったからまたすぐ目を剃らした。え、今何て言った?

「…」

「…」

気まずい沈黙が部室内に流れた。他の奴等はとうの昔に幸村が追い払ったもんで部室には誰も居らん。誰かこの沈黙を破ってくれえええええええ!!破れえええええ!!と、心ん中で思っきし叫んどったら

「……いいから、」

幸村が小さい声で呟い

「いいからさっさとキスしなさいっ!!」

た、と思ったら今度は目を見開いて叫ばれた。俺はその言葉に反射的に立ち上がって急いで幸村の頬に唇を押し当てた。

その後、幸村はまんざらでも無さそうな顔をして「まっ、今回はこんぐらいにしといてやるよ」とだけ言って少し頬を赤くしながら部室を出ていった。

すまん幸村。何が何だか全くわからんぜよ。




きみにキス!様に提出させて頂きました!!









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