王様ゲーム
※丸井視点です
「王様ゲームをしよう!」
また幸村くんのいつもの思い付きで、訳の分からない王様ゲームが始まろうとしていた。
「ど…どうしたんだよぃ幸村くん…」
「部活でゲームをするなどたるんどるぞ幸村!」
鬼の副部長、真田が出てきて幸村くんに説教をしようとすると、幸村くんは悲しそうに笑いながら言った。
「真田…そうだよね、ちょっと浮かれすぎたよね…。ごめんね。去年のクリスマスは病院で一人だったからさ…」
うっわー絶対嘘だ、と真田以外の部員は皆冷たい視線を送る。が、真田は一人狼狽えながら、
「すすすまなかった幸村!やろうではないか王様ゲーム!」
とあっさり認めてしまった。幸村くんはすぐ笑顔に戻って「ありがとう真田」とニコニコ笑って、割り箸でくじの準備を始めた。本っ当敵に回したくないよな幸村くんって。
「にしても…。何故王様ゲームなのですか幸村くん?」
比呂士が作業を続ける幸村くんに尋ねる。その質問に俺達も頷き幸村くんに視線を向かわせる。すると幸村くんはやっぱり笑顔で、
「今日がクリスマスだからに決まってんじゃん」
「…は?」
「せっかくのクリスマスなのにいつもと変わらない部活の練習メニューこなすなんてつまらないじゃん。だから王様ゲームするの」
幸村くんはさらっと言ってのけたが、俺達は固まって動けなかった。
やっぱり…。こんな理由だったのか、と。
だが幸村くんは言葉を続けて、
「それに、さっき真田に言ったことも…。粗がち間違ってはいないんだよ」
と、いつもの優しい笑顔のまま幸村くんは俺達に向かって微笑んだ。すると赤也が「やりましょーよ。王様ゲーム!」と身を乗り出して言うもんだから俺達もそれに賛同した。
そんな顔されたら、誰も断れる筈が、無いから。
「王様だ〜れだ!?」
はしゃぎながら俺達は幸村くんが作ってくれた割り箸のくじを引く。見たところまだ俺だぁ!と騒ぎだす輩は居ない。と言うより出てこない。…ということは、
「…あ。俺だ」
「なんじゃ。ブン太ナリか」
「つまらないことを言う確率はものすごく高いぞ」
「お前等うっせえよぃ!」
と仁王と柳に突っ込みながらも確かに面白いことを言う自信は無いし何も思い付かない。どうしようどうしよう、悩んでいたら挙げ句の果てには幸村くんが「まだぁ?」と催促し始める。
うっせえな!今考えてんだよぃ!!
…ん?
そういえば…俺、アレ、あんじゃん。
横に居たジャッカルが「決まったのか?」と顔を覗き込んでくるがそんなのお構い無しに俺は一人で納得し続ける。
やっぱあれだよな。クリスマスには必要不可欠だよな。
「とりあえず俺が作ってきたクリスマスケーキを皆で食べながら王様ゲーム、っていうのはどう?」
俺が命令を出すと一気に皆が笑顔になった。
やっぱ俺って、マジで天才かも。
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Merry X'mas!!