一万円・番外 | ナノ

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新しい世界へようこそ




●注意書き●

・この拍手文は「一万円」に登場してきた『佐藤さん』という女の子目線の話です。
・もちろんBL含みます。



以上の内容が苦手な方、嫌悪感がある方は、ここでお戻りされた方がよろしいかと思います。
見てからの苦情・批判発言は一切受け付けておりません。

大丈夫な方、以上の内容が守れる方のみ、スクロールをお願いします。












仁湖君に告白をして振られてから、一ヶ月が経ったんだけど、…未だに仁湖君を好きという気持ちが抑えられません。




恐い人達、所謂不良生徒に囲まれている所に偶然通り掛かった仁湖君が、私を助けてくれたのが好きになったきっかけ。


…正直言うと、仁湖君の助け方は「王子様」のように格好良かったわけでも、「騎士様」のように勇敢だったわけでもなかった。
むしろ脚も声も震えていて、お世辞にも格好良いといえるものではなかった。



だけど、…そこまでして私を助けてくれた。
仁湖君だって、恐かったはずなのに逃げもしないで、私を助けてくれた。



私の手を引っ張って助け出してくれた仁湖君は、凄く輝いて見えた…。







初めは遠くから仁湖君を見ているだけでも良かった。…良かったんだけど、友達から「ストーカーみたいだからやめなよ。」と言われてから、仁湖君を見る回数を極端に減らした。

…そうすれば物足りなくなるのは当然で、「もっと仁湖君の近くに居たい。」と思うようになってきてしまい、思い切って告白した結果、仁湖君にはやんわりと断れてしまいました。



…振られるのは分かっていた。
分かっていたけれど、振られたショックは大きい。

もっと早く告白していたら、少しは結果が違ったかな?
私と付き合ってくれてたかな?


…そう思うと、ずっと告白できずにうじうじしていた自分を怒鳴りつけたい。




『気になる人が居るから。』



うん。分かってた。
ずっと仁湖君を見ていた私は、知っていた。

知っていながら、振られるのを分かっていて告白したのは、自己満足。
仁湖君が好きだという気持ちをごまかしていたら、きっと後悔するから…。

きっとこの自己満足の告白で、仁湖君を困らせてしまったと思う。…ごめんね、仁湖君。
だけどどうしても伝えたかったんだ…。





振られてから一ヶ月しても、やはり仁湖君を好きという気持ちは全く変わらない。
誰にもバレないようにこっそりと仁湖君を観察するのが、私の日課。…友達が言った通り、本当にストーカーのようだと、自己嫌悪に陥ってしまう。


いつかは止めないといけないと思っているんだけど、仁湖君が好きでどうしようもなくて、中々止められない。…そして今も仁湖君をこっそりと観察中。


観察していると仁湖君はいつも一緒に居る高瀬君と、空き教室に入って行くのが見えた。



『…も、もしかして仁湖君、高瀬君から暴行を受けているのでは…っ』と思った私は、こっそりと教室の中を覗いてみた。





…そして私は教室の中を覗いて、凄く驚いた。






だってそこには、




仲良く話をしている二人の姿ではなく、


高瀬君から暴行を受けている仁湖君の姿ではなく、





二人がキスをしていたのだから…。




高瀬君から暴行を受けているのではと思っていたのだが、それ以上に驚く光景を見てしまい、私は目も逸らせず、恋人同士のような深いキスを何度も行う二人に釘付けとなってしまった。




…ゴクリ。




緊張のあまり、喉が鳴ってしまう。







『気になる人が居るから。』



仁湖君に好きな人が居ることは、仁湖君に聞く前から知っていた。
…知っていたけれど、その相手が男の人で、しかも高瀬葵君だったなんて、知らなかった。



見てはいけないものを見てしまい、私はすぐに逃げようと思ったのだが、…次の瞬間高瀬君と目が合ってしまい、驚きと恐怖で足が動かなくなった。


“どうしよう”、そう思って脳内で慌てている私に、高瀬君はニヤリと笑って、仁湖君に気付かれないように口パクで私に伝えてきた。





『じゃ・ま・す・ん・な』





勝ち誇ったかのように、口角を上げて嘲笑う高瀬君は、まるで私に見せ付けるかのように、更に深いキスを仁湖君に仕掛ける。


高瀬君とのキスでとろんとした仁湖君の表情に耐え切れなくなって、私はすぐにその場から逃げ出したのだった…。









…まさか仁湖君の好きな人が高瀬君だったなんて…。


信じたくなかったのだが、信じるしかない。
あのキスを受けて、仁湖君は嫌がるどころか、嬉しそうだった。


何故だかドキドキが止まらない。
先程走ったせいかな…?


だけど一時間経った今でも、動悸が激しいのは何で?



私はこの速過ぎる鼓動の理由を確かめるべく、…再び仁湖君を観察するのだった。



…そして高瀬君と二人きりで居る仁湖君を観察する日々が多くなったことは、…言うまでもない…。





END


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