「…あ、あのさ、訊きたいことあるんだけど、…ちょっといい？」


「あぁ、何だ？」


「…た、高瀬って、…猫が好きなの？」


俺は前々から思っていた疑問を高瀬に訊ねることにした。
訊ねた内容は、“猫が好き”なのかどうかだ。

…だって以前から高瀬は俺の手を握れば、「肉球みたいで柔らかい」だの、「フニフニする」だの、言っていた。
だから犬派の俺は少し気になる。



「どう？やっぱり猫好きなのか？」


「…そうだな。好きだ。」


「やっぱり好きだったんだ。」


確かに猫って可愛いよな。
膝の上に寝たり、布団の中に入ってきて寝たり、…時々つれないときがあるけれど、甘えてくるときとそうでないときのギャップがまたいいんだよな。



「どんな所が好き？」


高瀬が猫が好きなのも、俺と同じ理由なのだろうか？



「やっぱりあの可愛い性格とか？」



「仁湖に似てる所。」



「………は？」



“俺に似てる所”？
な、…何だそれは？俺が想像していた理由と違うんだけど…。



「え、…えっと、どういう…意味？」


「そのままの意味だ。」


…そ、そのままとか言われても、俺にはちっとも分からねぇよ！俺は猫でもないし、猫に似てるわけでもないんだから。



「甘えっ子のくせに、いざ甘やかすと逃げ出したり、…それなのに時々自分から擦り寄ってくる所とか、仁湖に似てるよな、猫は…。だから猫は嫌いではない。」


高瀬は愛おしそうそうな目付きで俺を見て、優しい手付きで俺の髪の毛を撫でてくれる。



「…ば、…ばかっ、何言ってんだよ…っ？！」


高瀬の発言と優しい手付きと目線に、俺は顔の顔は真っ赤になってしまう。
…でもこれは致し方ないと思う。
だってすげぇ、恥ずかしい……。



「…そういう所だ。可愛いな、仁湖は…。」


「う、うるさい…、も、もう喋るな…っ！」


羞恥のあまり、近くにあった掛け布団を頭から被る俺。
そしてそんな俺に未だに、「可愛い…」と言ってくる高瀬。



……俺は高瀬に安易に質問するのを止めようと、心に誓ったのだった。





高瀬は仁湖中心で世界が回っている。





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