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「…俺には言い難い事か?」

「は、はい…」

「それなら担当医を変えるか。女の人であれば話しやすいか?」

「…いえ、そういうわけではなく、その…」

「どうした?」

「ご、めんなさい」


とても親身になってくれる先生だ。
それなのに我侭言ったり、いきなり泣き出したりと、俺は迷惑を掛けてばかりじゃないか。自分勝手に振舞っていた事に謝れば、「お前は悪くねぇだろ」と先生は優しい笑みを浮かべてくれた。本当にいい人だ。


「先生にも言い難い事だけど、女の人だともっと言い難い悩みなんです」

「…俺でいいのか?」

「はい、先生がいいです」


正直にそう言えば、先生は一瞬目を見開いた。何でだろうと思っていたら、驚いた表情をしたのはその一瞬だけで、すぐに嬉しそうに目を細めて「そうか、それなら良かった」と言ってくれた。


「守秘義務はもちろん守るし、治せるように努力する」

「……先生?」

「一人でどうするべきか悩んで病院まで来たんだろ?」

「は、い」

「俺が力になる。だから一人で悩んでないで悪い所を教えてくれ」


俺は先生のその言葉は凄く嬉しかった。
今度は先程とは違う理由で泣きそうになりながらも、俺は恥ずかしさに耐えながら、必死に言葉を紡いで先生に伝えていく。


「お、俺」

「…どうした?」

「最近身体がおかしくて…っ」

「どういう風におかしい?」

「その、…む、胸が、」

「……胸?」

「胸が、…ふ、膨らんで…きたんです」

「胸が、膨らむ…」


ゴクリという音が室内に響いた。



「せ、んせい?」

「あ、いや悪い。…何時頃から?」

「中学を卒業したときくらいから…」

「実際に見せてくれるか?」

「…え?」

「実際に見てみないと詳しい事は分からない」

「…そ、そうですよね」


そうか。悩みを伝えただけで症状や処置方法なんて分かるわけないよな。で、でも見せるのは恥ずかしくて嫌だ。だけどこれ以上先生に迷惑を掛けるのが嫌だったので、俺は意を決して服に手を掛けた。

そして俺は震えそうになる手で着ていた服をたくし上げた。


「………」

「……っ、」


恥ずかしくて目をギュッと瞑る。だけど先生の視線が俺の胸に集中しているのが何となく分かった。
俺の胸を見て先生はどう思っただろうか?やっぱり…気持ち悪いと思っただろうか?男のくせにこんな胸があるなんて…。


「せ、先生」


羞恥や不安で頭の中グチャグチャになっていると、先生から「触れてもいいか?」と声を掛けられた。


「さ、…触る…?」

「触診な」

「え…、あ、その…。は、はい」


驚きで目を開ければ、先生と視線がぶつかった。
もう恥ずかしくて泣きそうになりながら頷けば、先生は俺の胸に向かって手を伸ばす。

そして膨らんでいる胸を触られ、揉まれる。
思った以上に先生の手が熱くて、俺はびっくりして身体が震えてしまった。





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