「……ん…」
起こすか起こさないかで迷っていると、高瀬の低い唸り声が聞こえて、おもわずドキっとしてしまう。
「…た、…高瀬?」
それから高瀬はムクっと上半身を起こして、眠たそうな表情のまま髪をかきあげる。
「お、…おはよう。」
「………おはよ…」
おはようと声を掛けた俺を見て、高瀬はふわりと笑った後、おはようと返してくれた。
あぁぁー、クソっ。
何でこれだけのことに俺はドキドキしてるんだよ?!
絶対おかしい。
今の俺はきっと何かの病気に侵されているんだ…っ。
そうだ。
絶対そうだ。
「…今、何時?」
「えっと、7時過ぎ…。」
「……お前も今まで寝てたのか?」
「あ、うん。」
「俺の横で?」
「うん……。」
「…そうか、それなら良かった。」
「え?」
な、何が良かったんだろう?
高瀬の言っていることはよく分からない。
…分からないけど、高瀬はずっと口角を上げて笑っている。
だから別に怒っているわけじゃないんだろうから、俺は特に気にしないことにした。
「あ、あのさ高瀬…。」
「…ん?」
「俺の両親さ、…きょ、今日帰ってこないみたいなんだ。…そ、そのさ、それでもしよかったら…、
…泊まっていく?」
「………………」
あ、あれ?
何だろう?高瀬黙ってしまった…っ。
も、もしかして俺なんかが泊まりに誘ったから気分を害したのかな?
「あ、…いや、嫌ならいいんだけどさ…。」
「……お前さ、…それって誘ってるのか?」
「…え?」
“誘ってる?”
何言ってるんだ?
だから“泊まりに”誘ってるだろ?
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