▽ 引き取る1
「さっきはすまなかった」
ロボットモードのままガシャンと音を立て、ライオコンボイは頭を下げた。あの事件から数時間後、ライオコンボイがノアに最初に言った言葉である。
「いえ、私も何も考えていませんでした…すみません…」
メインコントロールルームの座席に腰掛けた状態で、ノアも頭を下げた。
状況が状況だったとはいえ、彼に対し物を投げるなんてことをしてしまった。ノアは申し訳なくて顔を上げられなかった。
「なあ、ノアちゃんとライオコンボイ…なんかあったのか?」
「ノアはんが着替えとる所を、ライオコンボイが見てしもうたらしいで?」
ビックホーンが「何じゃと!!」と叫ぶのを予期していたのか、彼が叫ぶ前にスクーバは彼の口を塞いだ。
ロボットモードなので、ちょっと背伸びをして。
「レディーにちょっと失礼だゲソ」
「やっちまったなーライオコンボイ」
あちゃーとキッドは顔に手を当てた。
「あの、さっき私が投げた物が当たったと思うんですが…」
「あ、ああ。頭にカツーンと…」
「ご、ごめんなさい!条件反射というか…いえ、これは言い訳ですね。すみません…」
ライオコンボイは笑いながら大丈夫だと答えた。
ノアが投げた物は、後で廃棄処分しようと思っていた物。
壊れていたのだから別にいいのだが…形が丸かった物がベコッと凹んでいた事に驚いてしまったのだ。
どんな投げ方したんだ。とキッドとビッグホーンは冷や汗をかいたことをノアは知らない。
《ごめんねノア。こうも男所帯だと、女の子の事を忘れちゃうのよ》
「い、いえ。大丈夫です」
「そういえば…」
はた、とキッドがダイバーを振り返った。ダイバーは、は?と首を傾げた。
「この部隊に女っていないな」
「なんやキッドはん。今更何を言うとるんや」
そう問えば、キッドは失言を言うつもりなのかモソモソと言った。
「いや…花がないなあって…」
たっぷり三拍。沈黙が落ち、そこからビックホーンが突っ込んだ。
「戦う男に花も水もいらないんじゃああい!!」
「じゃあ明日から花畑行くな!!!」
「水がなかったら私はどうすればいいんでゲソ!!!!」
アパッチとスクーバがものすごい勢いでツッコミを返した。
アパッチはビックホーンの乙女な所を指摘、スクーバは水があってこそのスクーバだと主張した。
「む、す、すまん…」
あまりの勢いにビックホーンは何度も頷いて謝った。
「ゴホン!」
話が進まないので、ライオコンボイは話題を変えるべく咳ばらいをした。
「さて、本題に入ろう」
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