▽ それはきっと無自覚1
「…それは出来ない」
ライオコンボイは静かにそう言った。
彼の言葉にノアは目を見開き、スタースクリームはふーん…とほくそ笑んだ。
「ノアは、私が守る」
ライオコンボイはノアをしっかりと胸に収めた。
ノアはというと、ライオコンボイの今の言葉が胸に突き刺さって苦しくて目をギュッと閉じた。
「取引成立。ここで死んでもらうわ」
デストロン達は一斉に武器を構え、銃を放った。
ライオコンボイはノアだけには攻撃を当てまいと彼女を両手で抱え、身を縮めた。
その時、
「ウォッシュッ!!!!」
その声と共に地面が大きく揺れ、水が噴き出した。
そしてそれとほとんど同時にミサイルを打つ音が響いた。
「ぐあっ…!」
「ライオコンボイ!!」
ライオコンボイは、スタースクリームのビームは今の水の噴射で防ぐ事が出来た。
しかし、後ろと左右の攻撃をまともに受けてしまった。
地に伏せたライオコンボイのすぐそばに華麗に着地したのは…
「ス、スクーバ…!」
サイバトロン戦士、赤いイカにトランスフォームするスクーバだった。
ライオコンボイは安堵のため息をついた。
「水あるところ、どこでも参上する。それが私、スクーバだ」
「ドヤ顔するんじゃないわよムカつく!!」
カッコつけてそう言うスクーバに、ムキーッとスタースクリームは怒った。
「サイバトロン一人増えたところで、わてらが優勢なのに変わりはあらへん!」
「それはどうかな!?スルメラン!!」
スクーバはそう叫んでブーメランを投げた。
ブーメランは綺麗な弧を描き、ダージとスラストの武器を弾き飛ばした。BBは肩にあるミサイルで攻撃していたので、避けるだけで済んだ。
「BBランチャー!」
「む、イカん…!」
ブーメランを避けた瞬間、BBは肩のミサイルであるBBランチャーを打った。それはは倒れているライオコンボイ目掛けて一直進。スクーバが慌てて振り返ったが、間に合わないと誰もが思っていた。
ノアはどうする事も出来ず、ライオコンボイにピッタリくっついた。やはりデストロンが優勢だった…
ライオコンボイも次にくる痛みに覚悟を決めた、その時…
「待ちやがれええ!!」
「四対一なんてリンチやでぇ!!」
向こうから銃を撃ちながらやってきたのは…キッドとダイバー。
そしてその奥から…
「でぃええええ!!!待つんじゃゴルァアアア!!」
叫びながらビックホーンがダイバーとキッドを抜かし、
ドカーン!
「うおっ!」
BBに突進した。
ちなみにビックホーンは方向なんて考えず、ただ全速力で走っていただけなのでBBに突進が当たったのは偶然である。
猛烈なタックルを浴びせられたBBはライオコンボイとスクーバを越え…
「スタースクリームー」
「や、ちょ、こっち来るんじゃないわよBB!がはっ!!」
ズッシーン…と重々しい音がして、スタースクリームはBBの下敷きとなった。
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