平和(U) | ナノ

▽ 終点はここ1
 

昨日に引き続き、「今日も平和です」と言いたくなるくらい快晴である。



「ライオコンボイ!どこ行くんだ?」


「ノアと会う約束をしているんだ」


船の出口に向かうライオコンボイに、タスマニアキッドは「ああ昨日の…」と納得した。
昨日ライオコンボイは「面白い奴に会った」とか言って少し上機嫌だった気がする。



「気をつけろよライオコンボイ。
デストロンの奴ら、いつ攻撃してくるか分かんねえからな」


「分かっている」と返事をし、ライオコンボイはビーストモードで出かけて行った。



「ん?ライオコンボイは何処へ行くのだ?」


「昨日会ったノアとかいう奴と待ち合わせだってさ」


「そのノアはん、確か女性やなかったか?」


ダイバーの言葉に、船内にいたサイバトロンは静かになった。













「あのライオコンボイが!!!」


「女と待ち合わせじゃとおおおお!!??」


何故かショックを受けるキッドとビックホーンにアパッチとナビは、はあ?と呆れた声を出す。



「そんなに驚くことないだろう」


「だ、だって、あの天然のライオコンボイがだぞ!?」


《キッドは何を想像しているか知らないけど、デートじゃないと思うわよ?》


そう言うナビに、「え?」とキッドはキョトンとした。ライオコンボイはノアとデート…と思っていたらしい。
拍子抜けしたのか、キッドは肩を落とした。



「あ…ただの待ち合わせなの…」


「まあ仮に「デート」だったとしても、ライオコンボイは全然意識してないだろうな」


「ビックホーンはん、ビックホーンはん。
アカンわ。真に受けとる…」


呆れ声でそう言うダイバー。
皆がビックホーンに視線を移せば、「ライオコンボイがデート、じゃと…!!」とショックで固まっていた。












「時間的にはそろそろだけど…」


ノアは重い目を擦って、ガイアの自然を眺めた。ちょっと昼寝をしていたのだ。



「(それにしても…
ライオコンボイは話のネタちゃんと考えてあるかしら…私は何も考えてないけど…
話す事なくて沈黙しちゃったらどうしよう…今からでもネタを考えておくべきか…)」


むーん…とノアが悩んでいると、茂みを掻き分ける音がした。



「(あ…ライオコンボイだ)」


視線の先にはライオコンボイ。
ノアが見つけられないのか、キョロキョロと辺りを見渡している。



「いないな…約束の場所は、ここのはずなんだが…」


ノアはライオコンボイの悩む姿が面白くて、その場から動かないでしばらく観察してみることにした。



「遅い…約束の時間はとっくに過ぎている…」


スイッと顔を上げたライオコンボイは、まさか、と一言。



「待ちきれなくてもう帰ってしまったのでは…」


いや、待ってるよライオコンボイ。
ノアは離れた所にいる彼にツッコミを入れた。



「そういえば、女性は時間にルーズな男は好まないと聞いたことが…いや、それはトランスフォーマーだけで…
いや、もしかしたらノアもあまりの遅さに痺れを切らして帰ってしまったのでは…」


悶々と考え出す司令官。考えがドンドン悪い方向へいっている気がする。
ノアはやりすぎたかな…と反省し、声をかけた。



「ライオコンボイ」


ノアの声が聞こえたので、ライオコンボイは下がり気味だった顔をパッと上げた。何処から声がするのだろう。



「ライオコンボイ!上ですよ、上!!」


そう言われ、ライオコンボイは言われるがままに上に視線を向けた。



「そこにいたのか。ノア」


ノアはすぐ傍の木の上にいた。笑顔でヒラヒラと手を振っている。



「いやあ、全く気づかなかったよ」


「面白かったですよ。ライオコンボイったら、独り言が激しいんですもの」


ノアはヒラリときれいに着地し、クスクス笑った。



「む、見られていたか、今のを」


「ええ。この目でちゃんと」


「ははっ、参ったなあ」


ハッハッハと笑うライオコンボイ。
ノアは「なんだか平和だなあ」と思った。



 


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