TF短編 | ナノ

▽ 教えたろか?1

じーっ


「……」


じーっ


どうも。俺、デストロンコンバットロン部隊所属のダージや。よろしゅう。…って、今挨拶しとる場合やない。
俺は、ルイに見つめられております。現在進行形で。


「なあ、ルイ?」


「なに?」


「俺の顔に、なんか付いとるか?」


するとルイはフイッと横を向いて「別に」と呟いた。
その反応を見て、ダージはひらめいた。


「あ、分かった。お前…」


「な、なに?」


キランと目を光らせて、ダージは一言。



「俺がイケメンやから見惚れ…」


「んなわけあるかアホ」


スゴッ


ルイはダージの頭に空手チョップを入れた。
まったく調子に乗って…とルイは呆れてため息をついた。ダージは涙目で頭をさすっている。


「痛いなあルイ。ツッコミ上手いけど、空手チョップやなくて平手でやって欲しかったわ」


「じゃあもう一回は平手で…」


スッと腕を振りかざすルイに、ダージは慌てて待ったをかけた。別にやり直す必要もないし、なにより痛いからヤダ。


「でも、ホンマにどうしたん?
俺が目を合わせるたんび(度(たび))にこっち向いとるやん」


「いや…別に…」


「なんやー、気になるなー
教えてーなルイちゃ〜ん」


ゴロニャンと猫撫で声でダージはねだった。気になって仕方ないらしい。
ルイは長いため息をついた後、ポツリと言った。



「口…」


「は?」


「ダージの口、何処にあるのかなって」


それだけ。とルイは立ち上がってその場を立ち去ろうとした。



「待てや」


彼にそう言われたと同時に、壁にトンと押し付けられてしまった。
こんなことになるなんて予想もしてなかったので、いとも簡単に押さえられてしまう。



「ちょ、なにする…!」


「知りたいんか?」


ちゃっかり彼女の両肩を押さえて、ダージはルイの目を覗き込んだ。
目のやり場を無くした彼女は目をキョロキョロさせている。
可愛い、おもしろい。
ダージは呑気にそんなことを考えていた。



「なに、を…」


「口のことや。言い出しっぺはお前やろ。
知りたいんやったら…」









「い、いい!やっぱりいいから!」
(何かを察した)


「クーリング・オフ期間はなしや」


「意味分からん!!」


「…ちょっと口にキスするだけやないか」


「余計嫌だ馬鹿!!」
 

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