▽ もう一度1
絶対死ぬ。
キラはそう思った。
だって、訳の分からない生物に囲まれていて…絶対私を敵対視してる…しかも私の銃は弾切れ。
さっきまで相手と肉体戦してたが、今手元にある刃物はもう使い物にならない。根本からボッキリ折られてしまった。
「私をどうするつもりなの…!」
問い掛けても相手は訳の分からない言葉をごにょごにょ言うだけ。交渉は不可能だろう。
それに何よりキラを不安にさせていたのは、さきほどの肉体戦で負った左腕の損傷。他にもところどころ損傷している。
「(どうしよう…)」
答えは一つ。ここで死ぬこと。
今のキラにはその答えしか打ち出せない。すると敵の一体がキラに飛び掛かって来た。もうダメだと彼女が死を覚悟したその時、
「そいつに触るな!クローバスター!!」
その言葉の直後、爆発音と共に砂埃が巻き起こり、キラは目を覆った。
それから数秒もしない内に、誰かがキラを抱えて砂埃を抜け出した。
彼女は視界が晴れるのを待って自分を助けてくれた誰かを見上げた。
そこにいたのは…
「久しぶりだな。キラ」
「ロック、バスター…」
かつて恋仲だった、ロックバスターだった。
☆★
「危ないとこだったな」
「…助けてくれたことと、治療してくれることには感謝するわ…」
どういたしまして。とロックバスターは救急箱の箱を開けて工具を取り出した。
現在キラは、ロックバスターの母船で治療を受けていた。彼はいつも一人なので、船も小型だ。
「ロックバスター。なんでこんな惑星に…?」
「ん?お前を追い掛けてた」
「…なにそれ、ストーカー?」
「おいおい。人聞きの悪いこと言うなよ」
いや、どう考えてもストーカーだろう。
キラは心の中だけで「気持ちわるー」と呟いた。
その時、
バチン!
「いっ…!」
損傷していた左腕に痛みが走った。
「悪い。痛いだろうが、我慢してくれ」
かなり重症らしい。神経回路に直接響くような痛みで、キラはそう判断した。
バチバチと左腕から火花が飛び、キラはビリビリと体が麻痺しているような感覚に襲われた。
「ひっ…ん…!」
「もうちょっとだ。頑張りな」
それを最後に、ロックバスターは無言で治療を続けた。
痛みを我慢するのに必死で、キラは治療の時間が長く感じられた。
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