TF短編 | ナノ

▽ 破壊大帝のお気に入り1
 
静かなデストロンの母船。
その廊下でモップを持ち、せっせと掃除をするのは、雑用係のルイ。彼女は非戦闘員だ。主な仕事は母船の掃除にメガストームの爆弾の管理と、あともう一つある。



「…まだこれだけ…」


ルイは汗を拭って、今まで掃除してきた所を振り返った。
デストロン母船は長い。廊下の長さも半端じゃない。
これを一人でやってるんだから、たいしたもんだと自分でも思う。



「まだまだ、頑張らなきゃ」


よし、と意気込んでモップを握る手に力を込めた時、ルイの一番よく知っている足音が聞こえた。
ルイは廊下の中央にあったバケツを除け、それを持って道の端に立った。



「お疲れ様です。ガルバトロン様」


彼女は頭を下げた。
ガルバトロンは「うむ」と返事をしてその場を過ぎ去って行った。






と思ったら違った。



「ルイ。儂は一休みする」


「はい。分かりました」


そうルイに声をかけて去って行った。
ガルバトロンの後ろからついて来たスタースクリームが「あらあら…」と言いながら近づいてきた。



「ルイのご指名が入ったわね」


「ご指名。ご指名」


後ろでBBもそう言った。



「スタースクリーム様、おかえりなさい」


「ただいま。ねえルイ。しつこいようだけど…」


またか。とルイは苦笑した。
さきほどのようにガルバトロンから彼女に一声かかると、いつもスタースクリームは問い詰めてくる。
それは…



「本っ当にガルバトロン様と何にもないの?」


「はい」


「毎度のことだけど信じられないわ…」


ねえ?とBBに同意を求めるスタースクリーム。BBは「ラジャー」と返事をしたが、彼はきっと分かっていない。



「とか言って、ガルバトロン様とうっふんあっはんイチャイチャラブラブしてるんじゃないの…!?」


「し、してませんよ…」


事実、うっふんあっはんはしていない。
けれどそんな風に誤解されるのも無理はないと思う。そう思われるような仕事をしているから。…端から見るとうっふんあっはんイチャイチャラブラブしてるだろうし。



「あら、こんなことしてちゃルイが叱られるわね。行くわよBB」


「ラジャー」


「ルイ。ちゃんと体を洗ってから行くのよ?」


ルイは苦笑して「分かってます」と返事をした。
 

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