「今からゲームしようよ」 僕は雑誌を読んでいる名前に提案した。突然何かと不思議そうな顔をして僕の方を見る名前にさらに言葉を続ける。 「本当の事の逆の事しか言っちゃ駄目なんだ、反対言葉ってやつ!」 例えば僕が「サッカーが好」きって言いたければ「サッカーが嫌い」って言えばいい。簡単でしょ?そう言えばさらに不思議そうな顔をする名前。 『そんなの面倒くさいよ』 言われるとは思ってたけどそれも計算のうち。 「つまりそれは面白そうって事だよね!わかった!」 『え?違……ってちょっとフェイ!』 僕は名前の持っていた雑誌を取り上げてにやりと笑ってみせた。いきなりそんな事をされた名前は少し機嫌が悪そうに僕を睨んでくるけど、観念したのか僕の提案を呑んで口を開いた。 『私、雑誌なんて読みたくないんだけど』 「うん上手上手」 『てゆうかフェイ、はな…えっと、もっとこっち、来てよ』 名前はこれで合ってるのかと最後に疑問符がつきそうな程曖昧に言葉を並べていく。多分離れて、って言いたいんだろうけど僕はその言葉の通りもっと君に寄った。 それから向き合うような形で顔を近付ければすぐさま名前の制止が入る。僕が何をしようとしてるのか分かっちゃったのかな?顔を下に向けてられてしまった。 『反対言葉、だから………ってゆうか、フェイやってないじゃん』 って、名前。声色からして多分、照れている。 「ん──…」 言ってしまうと僕は反対言葉がしたかったわけではない。計算のうちなのだ。 ……もういいかな? 「じゃあ、ちゃんと聞いててね」 『?』 急に改まった口調になった僕に、名前が顔を上げる。 「僕、名前の事大嫌いだよ」 そう言い放ってから顔を真っ赤させた名前にキスをした。 そう、全部計算のうち ----------------------- 前拍手お礼文を名前変換できるようにしました。 (130108) << |