私はフェイくんと一緒に買い出しの荷物を置きに行った。

最初は葵ちゃん達の所に赴き、頼まれていた材料を渡し、今はサッカー用の備品を置きに来ている。


『ありがとうフェイくん。本当に助かったよ』
「ううん。こんなんでいいならいつでも手伝うよ?」
『そんな事言うと今度はもっと重い荷物持って貰うよ?』


買い物袋から出した備品を納めながらフェイくんと話していた。始めは他愛ない話をしていた。


「ねぇ名前?」


急にフェイくんの声のトーンが変わった。
私は手を止め、フェイくんの方に振り向こうとした。

けど。


『………フェイ…くん?』


後ろからフェイくんに抱き締められた。
思いもよらないフェイくんの行動に、私の顔に熱が集まる。体が硬直して動かない。


「ねぇ名前?」
『は、はいっ』
「どっちが好きなの?」
『えっ?』
「太陽と白竜、どっちが好きなの?」


何故フェイくんはそんな事を聞くんだろう?
質問の意味が分からない。
分からないけど。


『二人は友達だよ?』


答えた方がいいと思い、素直に答えた。
二人が私を好いてくれてるのは分かってる。でも私は友達以上の感情は持っていなかった。
二人は一目惚れしたってハッキリ言ってくれたけど、まだ会って間もないし、毎日あんなの見せられたら………ねぇ?


「そっか、友達か」
『うん』
「じゃあ僕は?」


また思いもよらないフェイくんの質問。
一体どうしたと言うのだ。いつものフェイくんじゃないって、フェイくんとも会って間もなかった。

…………フェイくんの事か。


『………友達かな?』
「友達……か」


なんか残念そうな声音。
なんで?
でもそんな事より。


『フェイくん、離してくれないかな?』
「ヤダ」
『ヤダって』
「白竜には肩を抱かせてたのに、僕はダメなの?」


フェイくんの私を抱きしめる力が強くなった。
確かに白竜さんから肩を抱かれたけど、抱きしめられるのとは恥ずかしさが全然違う。

なんでこんな事になってるんだろう?
それになんだかフェイくんって……


『フェイくん、もしかして嫉妬してるの?……なんて』
「してるよ」
『はっ?』
「嫉妬」


嫉妬してる、その言葉を聞いた途端、私の心臓の鼓動が高まった。

なんでだろう。
フェイくんが嫉妬してくれてるのが、なんだか嬉しい?

あれ?なんで私は嬉しいの?
もしかして私ってフェイくんが好きなの?


「名前」
『んぅっ』


自問自答していたら、いきなりフェイくんが首筋にキスしてきた。
びっくりした所為でなんか変な声が出た。


「可愛い声」
『や、やだ』


あまりの恥ずかしさに、私の顔は更に赤く染まる。
でも何故か抵抗出来なくて、フェイくんも私が拒まない事に気を良くしたのか、私の体を触りだした。

なんか手付きがヤラシイんですけどっ!!?


「名前……」
『フェイ……くん…』


空いた方の手でフェイくんに顎を捕まれ、フェイくんの顔が段々近づいてくる。
もうワケが分からなくて、その場の空気に呑まれるような感じで、私は目を閉じた。

ところが。


「「ちょっと待ったーーーっ!!!」」


突如響いた怒鳴り声。声の正体は太陽くんと白竜さん。
現れた二人を呆然と見つめ、すぐ我に 返った私はフェイくんから離れた。


「あーあ、邪魔が入っちゃった」
「邪魔が入っちゃった、じゃないよ!ちょっとフェイくん!一体どういうつもり!!!」
「イヤな予感がしたから来てみれば、名前は渡さん!」


三人が言い争い、と言っても太陽くんと白竜さんが一方的にフェイくんを攻めてる。止めるべきなんだろうけど、今の私はそれどころじゃない。
あんな場面を見られた事が恥ずかしくて、三人を置いてその場を逃げ出してしまった。

でもなんだろう。
なんで私はちょっと、本当にちょっと物足りなさを感じているのかな?







あれから何時間か過ぎた。


「名前」
『フェ、フェイくんっ!?』


お風呂に行った帰り、フェイくんに話し掛けられた。
夕方の出来事の所為か、フェイくんの顔が見られない。
でもフェイくんには私の心情はお構い無しといった様子で、私に近づいてきた。


「今から僕の部屋に来ない?」
『えっ?』
「夕方の続き、しようよ?」
『ほえっ!!!?』


私の顔は再び真っ赤に染まり、恥ずかしくて逃げようとしたけれど腕を掴まれ、壁際に追いやられてしまった。

どうしよう。

せめて視線だけでも合わせまいと顔を背けようとしたら、顎を掴まれてしまった。


「ねぇ名前?」


低い声で名前を呼ばれ、背筋がざわつく。

フェイくんは私の心を見透かしたような目で、じっと私を見つめてくる。
もさかしたら夕方、私が感じた物足りなさに気づいているのかも。

………抵抗出来ない。


「名前、僕の部屋においで?」
『…………うん…』


差し出された手を、私は取った。






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♪Starry Light♪のニュケ様から1周年お祝いで頂きました。前回書いて頂いたものの続きです。本当にありがとうございます!大好きですう(//´`)人


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