今日の体育は男女混合のバスケット。人気種目なだけあって皆のやる気も最高潮。

そんな時に事件は起きた。


「名前!?大丈夫!?」

「誰か先生呼んで!」


ドサッと何かが床に倒れる音がした後、わっと人がその何かの周りに集まっていた。

まさか……


「名前?」

『は……っ…』


その人集りを掻き分けた先には俺の予想通り名前が倒れていた。荒い呼吸をする名前の顔は赤くて、少し見ただけでも熱があるという事は丸分かりだった。


「すみません、俺名前の事保健室に連れて行きます!」


俺はそのまま名前を抱きかかえて保健室に向かった。後ろから、お姫様抱っこだの何だのと冷やかしが聞こえてくるがそんなのは気にしていられない。今は名前を保健室に連れて行く方が先だ。

それにしても………軽すぎないか?他の女子なんて持ったこと等勿論ないが名前は軽すぎる。ちゃんとご飯食べているんだろうか。なんて考えていたら直ぐに保健室に着いてしまった。


「失礼しま……あ、いないのか…」


保健室のドアを開けて先生が誰もいないのを確認した俺は、奥にあるベッドに名前を寝かせた。朝からどこか様子がおかしいと思っていたがまさか倒れるまで我慢していたなんて……

俺は苦しそうに息をする名前の髪を撫でた。


『ん……白咲…?』

「悪い、起こしてしまったか」


ゆっくりと目を開けて当たりを見渡す名前。名前はさっき倒れたんだ、と状況を説明すれば申し訳無さそうに謝る。それから聞きにくそうに、


『その…重く…なかった?』


何かと思えばそんな事。まぁ女の子だしそういう事は大抵皆気にするんだろう。名前は気にする事なんて何もないんだが。


「お前は軽すぎるぞ、ダイエットでもしてるのか?」

『え?』

「ご飯はちゃんと食べてるだろうな?」

『た…食べてるよ〜』


ふにゃり。まるでそんな効果音がつきそうな程に顔を緩ませて笑う名前に思わず胸が高鳴る。熱があるせいでか少しだけ締まりのない喋り方、ぽっと上気した頬、とろんと垂れたような目。


『……白咲?』

「……な、何だ!?」


不思議そうに首を傾げる名前にハッと我に返り、無意識のうちに近付けていた顔を離した。いけない、名前は病人だ。落ち着け俺。


『?』


今もまだ不思議そうに俺を見つめてくる。ああくそ、その顔は反則だろ………


「名前…」

『ん…なぁに……、っ!』


俺は早まる鼓動を抑えながら名前のおでこに軽く口づけをした。








「早く元気になれよ」










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艶姫様が風邪気味だという事を聞き思わず書いてしまいました!1日クオリティで申し訳ないですが早く元気になぁれという私からのほんの気持ちです(*´-`)お大事に。




(120911)



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