最近理由も分からず苛々してしまう事が多い。睡眠だってカルシウムだって十分に取っているのに何故だろうか。おかげで特訓にも身が入らず皆の前で醜態を晒してばかりだ。


『何かあったの?』


そんな俺を心配して声をかけてくるのは恋人の名前。名前とはつい最近そういう関係になったのだが恋愛などした事がなかったもの同士、何の進展もなくチームメイトとして仲良くしていた時となんら変わりがない。今だって名前は普通に俺のベッドの上に転がって体を休めている状態。男のベッドにそう簡単に寝るもんじゃないと思うがそれは今更なんだろう。小さくため息をつけば名前は不思議そうに首を傾げた。


「分からないんだ、何故なのか」

『?』


自分の状況を伝えればしばらく考える素振りをした後『あ』と何かをひらめいた様子で声を上げた。


『そういえばね、苛々した時は温かい物飲むといいってシュウが言ってたよ』

「……シュウ?」


何故かシュウの名前に過剰に反応している自分がいることに気付いた。シュウは今では俺の大切なチームメイト、なのに何故こんなにも引っ掛かるんだ。


『うん、この間もシュウの部屋に行ったらホットミルク飲んでて、って……白竜?』


俺は気付いたらベッドの上の名前を見下ろしていた。さっきまで床に座って読んでいた雑誌をその辺に放りベッドにギシリと体重を乗せる。名前は突然の俺の行動にきょとんとしているが俺自身自分でも驚く程無意識に体が動くのだ。だけど、


「何となくだが分かった気がする」


最近苛々してしまうわけが。シュウの名前に反応してしまうわけが。というよりも恐らくシュウの名前に反応してしまうのではなく名前がシュウの名前を呼ぶことに反応してしまうんだろう。そうだ、最近名前がシュウの話ばかりするから。つまりこれは俗に言う嫉妬。


「……そういう事だったのか」

『あの…?ど…どいて……、!?』


不審がって自分に跨がっている俺を見る名前のおでこにキスをした。ゆっくりと名前の手に自分の手を重ねて真っ赤になった名前の顔を見つめればどうすればいいのか分からないとでもいうような瞳と目が合う。


「キス…してもいいか」


そう言えば更に顔を赤くして目を逸らされる。そんな事聞かないでよ、なんて言う名前……これは、してもよいという事だろうか。恐る恐る唇を近付けてふわりとした感触が伝わった所で顔を離す。そしてもう一度唇を重ねて今度は中に舌を侵入させる。こんな事をしたのは初めてで上手く出来ている自信なんてないが、必死に応えようとしてくれる名前が愛しかった。

そう、愛しくてしょうがない。それと同時に別の感情も生まれてくる。名前を誰にも渡したくないとか、このままずっと触れていたいとか、子供のような強い独占欲。前まではサッカー以外の事にこれほどにも夢中になるなんて思ってもみなかったが今じゃあこんな有り様だ。


『ふぅ…ん、…あっ!』


体の動くままに腹辺りに舌を這わせていけば俺の手を握る名前の手が強張った。怖いのだろうか、その手を握り返してやれば少し安心したかのように息を吐いて、俺から与えられる刺激を享受していった。



***



「名前、痛かったら爪を立ててくれて構わない」

『う、ん……っ』


十分に時間をかけて鳴らした処に自分のモノを押し込んでいく。と、最中急に部屋をノックする音。据え膳状態でドアの方に視線を送ると聞き慣れた声が聞こえてきた。


「白竜、僕だけど」


その声に名前がピクリと反応する。それから真っ赤になってそいつの名前を口にした。


『どうしようシュウに見つかっちゃ……あ、っ!?』

「…いるの?」

『……っ、…、……!』


馬鹿げてる。たかが他の男の名前を呼んだけで嫉妬なんて。だけどその思考とは裏腹に俺は名前に思い切り腰を打ちつけていた。


「あれ?」

『……〜っ、ゃ、んぅ』


シュウはまだ俺達が付き合っていることを知らない。おそらく他の奴らも。なら今バレてしまえばいい。そうすれば誰も名前に手を出さなくなるだろう?声を出すまいと口を覆う名前の手をどけてやれば殺しきれていない切なげな声が漏れ出す。だめ、と掠れた声で限界を訴えてくるが、羞恥で今にも泣き出してしまいそうなその顔に、ぎゅうぎゅうと締め付けられる感覚に、俺も限界が近いわけで。


「…───ッ!」

『ぁ、───っ』


生暖かいものを名前の腹の上に吐き出して息を整える。


「もう……白竜のやつ……」


だんだん遠のいていくシュウの声に耳をすませながら俺と同じように息を整える名前の首元に顔を埋める。何だ、気付かなかったのか?バレてしまえばよかったのになんて、安堵の表情を浮かべる名前に言ったら殴られるだろうか……それは勘弁だな。

そうじゃなくて、名前を俺だけのものにする方法……







「あ」







カプリ










(次の日)
(シュウに赤飯を貰った事は黙っておこう)





-----------------------
艶姫様へ捧げます!落ち、が……すいません(笑)リクエストありがとうございました(^^)


<<