ひとりで暮らすには申し分ない広さの部屋に招かれて大好きな総司さんと他愛ない会話を楽しんでいる。だけど私は少しだけ浮かない気分だ。

いつもと変わらない話の内容。いつもと変わらない総司さんの様子。再び巡り会えたばっかりだから知らないのはしょうがないかもしれない。それに言ってしまえば一緒に居る期間だってそんなに長くはない。だから私の誕生日を知らない事は当たり前といえば当たり前なのだ。


「───…で、どうだった?」

『へっ?』


さっきまでテレビを見ながら話していた総司さんだったけど気がつけばいつの間にか私の方へと視線を向けていた。

恐らく何らかの返答を望んでいるであろうその言葉に私は慌てて話の内容を思い出そうとする。ああだめだな自分。せっかく総司さんと二人っきりの時間なんだから。小さな事でさえ悩んでしまう自分に内心嫌気が差しながらも総司さんに向けて苦し紛れの笑顔を作る。


『す、ごかった…ですよ』


これでいいのかな?何に対して何の話をしてるのかなんて全く理解出来てないけど、とりあえず。だけどそんな私に気付いているのかゆっくりと総司さんの手が私に伸びて来た。


「考え事か?」

『え?』

「俺の前で考え事かって」


いつもの優しい顔に似合わないような声のトーンに少し体が強張る。伸ばされた手がどこに行こうとしているのか……気が付けば視界は何かに覆われていた。


『総司さ…何して…』

「目隠しだ」

『は、外してくださ…きゃっ!?』


真っ暗になった事に慌てて頭に巻かれた物に手を伸ばすも突然かけられた体重のせいで呆気なく阻止されてしまう。

今何が起こっているのかも分からない。いつもの総司さんと明らかに違う仕草や言動に思考が追い付かない私は、されるがままに総司さんからの口づけを受け入れる事しか出来なくて。


『はっ…ぅ、ン…』

「ん…」


とろりと唇を割って入ってきた舌に咥内が侵されて次第に体が熱くなってくる。ぼうっとする頭のせいでもう他の事に意識が回らない。


「…名前」

『ふぁ…総司、さ…っ』


心地いい。言動はいつもより荒々しいけどキスはいつもと変わらず、いや、いつもよりも優しいような気がして私はゆっくりと総司さんの背中に腕を回した。

例え総司さんが私の誕生日を知らなかったとしても、私にとっては一緒に居れる事、それが一番のプレゼントだ。


『…好き…』


ようやく唇が離れた所で呟く。総司さんは今どんな顔をしてるのだろうか。


「そんな顔しないでくれ……歯止めが効かなくなる…だろう」


どんな表情で私を見ているのだろうか。


「……ほら、起きれるか?」


優しく誘導される手。目隠しされたままで椅子へと座らされてふわりと目を覆っていた布が外される。


『なに…』





「「おめでとう───!!」」

『……え?』


その音と声に辺りを見回すとひらひらと舞う紙吹雪。それと雷門の皆。


『え?え!?』



「もう、沖田さんってば俺達がいること知ってるのに見せつけてたんですか?」
「ちゅーか生のキスえろ」
「ななな何言ってるんですか浜野君!」
「おい神童、もう終わったからこっち来いって」



『皆、なんで……っ』

「何でって今日は名前の誕生日だろ?」



吃驚している私を見て得意気そうに隣の総司さんが微笑む。いつから皆いたのかな?キス見られてたんだよね?そう思うと顔が熱くなる、けど。



「ケーキ持ってきたやんね───」
「うわぁ美味しそう」
「火つけて火つけて!」



「ほら名前、」



総司さん……知っててくれたんだね。



『総司さん…皆……ありがとう』








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艶姫様、お誕生日おめでとうございます(-^〇^-)パチパチ。これからも色んな事を楽しんでいって下さいね!


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