事の発端はエイプリルフールだから皆を騙してやろう。と行事には疎そうなスガタが言い出したことだった。
普段ないくらいに楽しそうなスガタだったから友人として乗ってやらないわけにはいかないな！と強く頷いた僕とスガタで実施した嘘、というのが、
「僕たち正式にお付き合いすることになりましたー！」
というありがちで、悪ふざけ的なもの。
勿論誰が見ても嘘だと一発でわかるから、面白半分にからかってくる奴も多い。
例えば、
「結婚のご予定は！」
とか、
「子供は養子かぁ？」
とか、
「ちゅーしろっちゅー！」
って言うのもあった。
流石におふざけで男とちゅーは無理だろうって、僕は「恥ずかしくて出来ないよ！」とあくまで恋人っぽく言ってみたんだけれど、
「いいよ、」
一言だけそんな声が聞こえた方向を首を傾げながら見れば、待ってましたと降ってくる口づけ。しかもディープ。僕も周りもフリーズ。
数分にも感じられた、実際のところは数秒のキスの後のスガタの表情は実にいい笑顔。
茶化してきた友人達もどきまぎして、最後に一言振り絞って去っていったのだった。
「おし…あわせに…」
嘘も貫かれれば誠となる
「あれから半年か…」
「僕たちいいカップルだな」