僕は余りにも無力だった。
僕には力など有りはしなかった。
僕は非力で、どうしようもなく非力で、
だから、僕はとても不安定だった。
足元はぐらぐらと揺れて、震えて、僕は、僕は、
「僕がお前のこと、守ってやる。」
上から目線。どうしようもなく上から命令口調で僕の喉は言葉を並べた。
だからそれは、自己防衛。
無力な僕が、無力な僕を守るための、無意味な行動。
だってお前は強いから、僕の非力など必要とはしていないから、
けれど君は、その心地の良い声で奏でるのだ。
僕の名前を、助けを求める言葉を、
だから僕は君を救ってやるんだ。
「スガタ、」
「タクト…」
英雄になりたいわけでもない、
救世主になりたいわけでもない、
ぐらぐら揺れる世界で僕らは僕らのために僕らを守るんだ。
そして今日も呼び続ける、
ヘルプ・ヘルプ
不安定な僕らが存在するための、不完全な方法。