寄り添えることを幸せだと感じる。
触れ合えることを喜びだと感じる。
確かな感覚、温度、声、匂い、目の前の彼、首筋を舐めたときの味、五感のすべてが彼を認識して、感知して、そして腹の中で赤黒い欲望を呼び起こす。
欲しい、欲しくてたまらない、と涙が出るほど、苦しくなるほど、
そうなると彼は決まって僕を抱きしめてくれるんだ。
優しく、強く、あたたかく、
「欲しいなら全部お前にやるよ」
「スガ、タ…」
頭を撫でる手つきは柔らかい。
じんわりひろがって僕を満たす。
カラン、カラン、と音を立てていた僕の中が少しずつ、確かに埋まっていく。
外見だけの空っぽの僕が意味を持ちはじめる。
笑う彼が言うんだ。偉そうなこと言って結局お前も同じだなって。
そうだよ、同じ。
満たされることを望んでいるんだ。
音を立てて主張するんだ。
「僕らは似ている。」
言ったのはどっちだったっけ?
カラン、カラン、カラン、カラン
空が雲で覆われるように、
町が霧で包まれるように、
僕をお前で隠してよ。